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スイスの交通安全 規制強化とハイテク機器で飲酒運転をストップ

スイスの警察は罰則強化の2005年以降、アルコールとドラッグの検査回数を増やしている Keystone

グラス1杯程度のビールを飲酒しても、通常は自動車運転が許されているスイス。飲酒運転に関する罰則が強化されて以降、飲酒事故は近年減少傾向にあることが先日の公式統計で分かった。国は道路の安全対策をさらに強化していく方針で、一部の企業は飲酒運転防止装置「アルコール・インターロック」の導入も検討中だ。

 スイス連邦統計局は先月、飲酒運転による事故件数は2005年の罰則強化以前の年間約630件から、ここ数年は約500件にまで減少していると発表した。

 2005年の罰則改定では、飲酒運転の基準を欧州連合(EU)の基準に合わせ、血中アルコール濃度の基準が1リットル中0.8ミリグラムから0.5ミリグラムに引き下げられた。また、警察による飲酒検査も強化された。

 連邦統計局によれば、飲酒運転をする人の数そのものが近年減少している。飲酒運転防止のキャンペーンが行われたり、飲酒運転が社会的に議論されたりしたことが、飲酒事故の減少につながったと同局はみている。

 道路の安全性をさらに高めるため、スイス連邦議会は2012年、交通安全対策プログラム「ヴィア・シクラ(Via Sicura)」を採択。その第1弾として、昨年は速度違反の罰則が強化された。また、今年から始まった第2弾では、トラック、バス、危険物輸送車の運転手などに対し血中アルコール濃度0.1ミリグラム未満が適用されることになり、飲酒運転の取り締まりが厳しくなった。

エンジンがかからないようにする「アルコール・インターロック」

 2015年から始まる第3弾では、飲酒運転で無期限免許停止処分を受けた人が免許の再交付を希望する場合、セラピーの受診に加え、医師の診断書を提出しなければならなくなる。さらに、再交付後の最初の5年間は、呼気アルコール濃度が一定値を超えた場合に自動車のエンジンをかからなくする装置「アルコール・インターロック(AILS)」の搭載車しか運転できなくなる。

 搭載車では、運転手はこの装置のストロー部分に息を吹き込む。AILSが息の中にアルコールを検知した場合、キーを回してもエンジンがかからなくなる仕組みだ。

 日本では2011年から、トラックやバスなど事業用自動車の運転手は常務開始前と終了後にアルコール検知器の使用が義務付けられているが、スイスにはそうした規制はまだない。

 こうした中、AILSを自主的に導入し、飲酒運転を防ごうとしている企業がすでにいくつか出てきている。ドイツ語圏の大衆紙ブリックによると、スイス東部グラールスのセメント会社ヴェッチュ・べトンは、トラックミキサなどトラック13台にAILSを設置。同紙の取材で社長のユルク・ヴォルフ(53)さんは「社員が酒気を帯びないで走行していることが分かるので、安心できる」と話す。

 北部ヴィンタートゥールのトロリーバス運行会社も、この装置の導入を検討中だ。

 社会民主党のダニエル・ヨジッチュ下院議員はブリックの取材にこう語っている。「すべての自動車にAILSが搭載されて初めて、飲酒運転をする無分別なドライバーは言い訳ができないようになる」

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