サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会の試合中に「ワシのジェスチャー」のゴールパフォーマンスをしたスイス代表のグラニット・シャカ、ジェルダン・シャキリら3選手が国際サッカー連盟(FIFA)から罰金処分を受けた。驚くかもしれないが、スイス代表が処分を受けるのはこれが初めてではない。
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FIFAが下した今回の罰金処分は、スイスのファンたちには胸をなでおろす結果だったかもしれない。最悪の場合、3人が出場停止になる可能性があったからだ。FIFAは「フェアプレーに反する行動を取った」としてシャカとシャキリにそれぞれ1万フラン(約110万円)、シュテファン・リヒトシュタイナー主将に5千フランの罰金処分を科した。
過去を振り返ると、2004年の欧州選手権(ユーロ)で、当時のスイス代表アレクサンダー・フライが3試合の出場停止処分を受けている。スイス代表の通算最多得点記録を持つフライだが、このときは対戦したイングランドのMFステファン・ジェラルドの首筋につばを吐きつけた。
スイスサッカー協会(SFV)もこの「つば吐き事件」で失態を犯した。協会は問題の隠蔽(いんぺい)をもくろみ、フライに「やっていない」とうそをつくよう強制したとして批判を浴びた。外部団体がまとめた報告書では、これを事実と証明する証拠はなかったとしたが、協会はより適切に問題に対処すべきだったと結論付けた。
1995年は、協会をも怒らせる出来事が起きた。同年に行われたユーロ1996予選でスウェーデンと対戦したアラン・ズッターら一部のスイス代表が、試合開始前の国歌斉唱時に「シラク、やめろ」という横断幕を掲げたからだ。選手たちはフランスのシラク大統領が試合前日に行った南太平洋での核実験に反発し、このような横断幕を掲げた。
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1995年に行われたユーロ予選の試合で「政治的パフォーマンス」をしたスイス代表の選手たち。帰国したアラン・ズッターがその真意を明かした。一方、スイスサッカー協会は怒りを隠せない様子だった。
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ズッターらはスイスサッカー協会からも、ユーロを主催する欧州サッカー連盟(UEFA)からも処分を受けなかった。しかし、UEFAはその後、政治的なパフォーマンスや発言をした選手らを出場停止処分にする厳しい規則を導入した。
シャカ、シャキリがしたような「ハンドジェスチャー」はどうだろう?2012年、当時のスイス代表のオットマー・ヒッツフェルト監督は、ワールドカップ欧州予選でノルウェーと対戦した際、スペイン人審判のジャッジに腹を立て、中指を立てた。監督は2試合の出場停止処分を受けた。
最後は2005年、ワールドカップ予選プレーオフ第2戦の試合後に起こった乱闘事件だ。ただしこのときは、スイスはほぼ被害者だったといえる。
トルコ・イスタンブールで行われたこの試合で、スイスはトルコと対戦。試合終了の笛が鳴った後、スイスがトルコ代表を侮辱したと怒り狂ったファンを避けようとして両チームの選手がピッチから逃げ出し、選手の出入り口で乱闘になった。この騒ぎでスイス代表のDFシュテファン・グリヒティングが軽傷を負って入院。トルコのファティ・テリム監督が怒り狂って選手たちをスイス代表にたきつける様子が、全世界に流れた。
FIFAは、トルコに対し今後のホームゲーム6試合を中立地で、しかも無観客試合とする厳しい処分を下した。さらに20万フランの罰金も科した。
トルコの選手2人は6試合の出場停止処分を受けた。またスイスのベンジャミン・フッゲルもトルコのアシスタントコーチを蹴ったことを認め、同様の処分を受けた。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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