過酷な条件で世界を一周するヨットレース「ヴァンデ・グローブ」。ジュネーブ出身のアラン・ルーラさん23歳が、同レースを最年少で完航した。
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ルーラさんは厳しい気象条件の下、地球の南半球を単独で、外部からの援助を受けることなく、無寄港で106日間航行。昨年11月6日にフランス西部レ・サーブルス・ドロンヌを出発し、アフリカ大陸最南西端の喜望峰、インド洋を通り、南極海のドレーク海峡を通過して4万5063キロメートルを航走。今月20日9時12分にスタート地点のレ・サーブルス・ドロンヌにゴールした。12位だった。優勝したフランス人のアルメル・ルクレアクさんは、74日3時間35分46秒で航海していた。
「12位。面白いことに、自分自身との競争でした。この結果を誇りに思っています。」と語るルーラさん。今回のレースには、17年前の中古ヨットでレースに挑んだという。
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グラウビュンデン州、五輪招致否決 理由は民主主義の欠如?
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州政府閣僚全員がそろったパネルディスカッションには、招致に反対する人は参加せず、招致推進キャンペーンには税金がつぎ込まれ、立候補ファイルは投票日間近まで非公開―。2026年冬季オリンピックの開催地に立候補するか否かを巡り、スイス東部のグラウビュンデン州では12日に住民投票が行われたが、結果は否決。招致推進派が繰り広げてきたキャンペーンは健全な民主主義の例とは言えなかったようだ。
12日にスイス各地で行われた投票の中でも、雪深い山間地グラウビュンデン州での住民投票は特に注目を集めた。同州では、26年冬季オリンピック開催地に立候補することへの是非、具体的には、招致プロジェクトの費用2500万フラン(約28億円)の是非が住民に問われた。
この住民投票はいくつかの理由から注目に値した。まず、今回の投票は、グラウビュンデン州の住民が同州での22年冬季オリンピック開催招致を圧倒的過半数で否決した前回の投票から、4年しか経っていなかった。
州政府と州の経済団体は今回改めて、世界第3位の規模を誇るスポーツ大会をグラウビュンデンの山々に招致しよう目論んだ。狙いは13年の前回と同じく、観光業と地元経済の活性化およびインフラの更新だった。
だが、今回は少し違う点があった。招致推進派のキャンペーンは、控えめに言うなら、民主主義の観点からみると多少「独特」な感じがあったのだ。州政府閣僚5人全員が参加したパネルディスカッションには招致に反対する人は誰も参加せず、その代わりにスポーツ選手2人が出席していた。このようなパネルディスカッションは、賛成派、反対派の討論を通して意見形成を行う通常の討論会とは異なる。
経済団体は数々の谷に位置する自治体に向けて、推進キャンペーンに財政面で関わるよう呼びかけもしていた。すべての自治体ではないが、いくつかの自治体はそれに応じた。それはつまり、推進キャンペーンに税金が投入されたということであり、健全な民主主義では「タブー行為」に当たる。公的資金の使用に異議を唱える人もいたが、五輪招致を目論む州政府はその訴えを棄却した。
計画は非公開
健全な民主主義に反した出来事は他にもある。投票日の1カ月前になってようやく、推進派は立候補ファイルを公開したのだ。そのため、招致計画の利点や欠点について、公で熟議が重ねられることはなかった。4年前の投票でもそれは同様であり、結果として反対票が圧倒的過半数を占めた。
また、推進派はチューリヒ市も招致に参加すると主張。いくつかの競技は同市で開催される可能性があるとしてきた。だがチューリヒ市民はこの計画について全く知らされておらず、同市は2026年冬季オリンピックの開催地には立候補しないとの立場を表明している。
こうした点から、グラウビュンデン州が開催地候補となるにはあまりにも問題が多かった。スイスでは五輪を招致する際、候補地の地元住民の過半数が招致に賛成していなければならないからだ。この点はブラジルなどの民主主義が不安定な国や、ロシアなどの権威主義国家とは違う。
専門家からはバランスを求める声
チューリヒ大学で公法学の教授を務め、民主主義研究機関「アーラウ民主主義センター(ZDA)」の所長であるアンドレアス・グラーザー氏は推進派のキャンペーンを批判する。州レベルでの住民投票では州政府の姿勢が特に重要となるからだ。州政府は自らの立場を明らかにし、賛成と反対意見のバランスが取れるよう特別に注意を払わなければならないと、同氏はドイツ語圏のスイス公共ラジオの取材に語っている。
五輪招致を巡るパネルディスカッションには招致反対の人が参加せず、州政府閣僚全員が参加した点について、グラーザー氏は「危険」と判断する。こうした州政府の姿勢に違法性が認められる可能性もあるからだ。例えば五輪招致の推進キャンペーンに税金が投入された点を巡り、訴訟が起きる可能性がある。今回の投票では反対6割以上で五輪招致が否決されたが、もし僅差で可決された場合はその可能性は大きいという。
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自然保護か河川の利用か スイスが抱えるジレンマ
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スイス連邦政府は過去、洪水防止策強化に多額の投資をし、また河川をより自然な状態に復元するため、26州全てに地表水の復元を義務付ける法律を発効した。しかし、河川の自然保護と、水力発電を進めたい考えの間で板挟みの状態となっているのが現状だ。
砂岩の上に幽霊のように伸びる城壁。廃墟となったグラスブルグ城のすぐ先で、森の小道はセンゼ川の岸辺に下りていく。スイスの緻密に管理された自然風景の中にあって、この辺りは珍しく野生が残っている。
「ここには非常に多くの種が生息している。植物も昆虫も魚も。本当に驚くべき場所だ。スイスの熱帯雨林と言ってもいい」と話すのは、世界自然保護基金(WWF)スイス支部で、「持続可能な水力発電プロジェクト」のリーダーを務めるジュリア・ブランドルさんだ。
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