スイスには現在、マチュア世代(または伝統主義者世代)、ベビーブーマー世代、X世代、Y世代、Z世代の五つの世代が共存している。若者の世代は中高年の世代に比べてどのような違いがあるだろうか?注目すべき10の特徴を取り上げる。
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かっこいい車はすべての若者にとって憧れの一つ、ではないかもしれない。スイスでも昔はそうだったが、今のスイスの若者にとって自動車は人生の目標ではなくなった。運転免許証を取得する若者の数も減少している。
これは世代間の違いというよりも、別の理由によるものだろう。スイスではまず、免許取得にお金も手間も多くかかる。また、週末に夜行バスが増えたことで公共交通の利便性が拡大した一方、都市を中心に駐車料金が上昇を続けている。そのためスイスでは他国と比べて、自動車を所有することが昔ほど魅力的ではなくなった。
カーシェアリング、配車サービス「ウーバー」、民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」、シェアハウスなど、所有ではなくシェアすることがY世代とZ世代を中心に人気を博しているようだ。ところがスイスの日刊紙NZZの論評外部リンクによると、ミレニアル世代が消費やステータスシンボルをあきらめる理由は、環境や人とのつながりを大事にしているからではない。この世代には単に金銭的な余裕がないのだ。Z世代もこの点では同じだろう。
スイスの国民投票を見れば、世代間における価値観の違いがよく分かる。軍、外国人政策、社会政策に関する国民投票では、若者と中高年の間で意見が違うことがよくある。例えば、投票行動調査によると18~29歳の約6割が大量移民反対イニシアチブに反対し、移民の流入を規制しない方がいいと考えていた(イニシアチブは賛成過半数で可決された)。
スイスではマイホームの人気が1960年以降非常に高い。しかしスイスは持ち家率が各国平均よりも低く、賃貸派の国と言える。
クレディ・スイスの調査報告書「2017年版スイスの不動産市場外部リンク」によると、現在の若者は賃貸の単身者用住居に住むことが多い。
だがいつかはマイホームが欲しいと思う若者は多い。Y世代のスイス人を対象にしたアンケートでは、回答者の7割が住宅購入を目標に挙げた。
意外なことに、年の若い人たちには定住願望が強い。クレディ・スイスの2018年版若者調査外部リンクでは、Z世代の84%がマイホームを望んでいることが分かった(ちなみに米国は90%、ブラジルは94%、シンガポールは92%)。ただ、不動産価格は上昇中で、給料は停滞している。そんな状況でマイホームが実現できるかどうかは、また別の問題だ。
若者に食品ロスが多い一方、中高年はそれほど食品を無駄にしていない。
Z世代やY世代に環境への強い関心がある(次の項目を参照)ことを考えると、若者の食品ロスは驚きに値する。
スイスでも温暖化防止を訴えるために生徒が路上でデモをすることがある。現在、Z世代による「学校ストライキ」は欧州中でメディアの関心を集め、政治を揺るがしている。この世代は、スウェーデン人の環境活動家グレタ・トゥンベルクさんにちなんで「グレタ世代」と呼ばれることもある。欧米ではY世代でも気候変動と地球温暖化への不安が極めて高い。
独コンスタンツ大学が行ったスイスの世代調査外部リンクで、ベビーブーマー世代はX世代とY世代よりもはるかに仕事への満足度が高いことが分かった。Y世代は前の世代に比べ一つの企業に留まることが少ないが、仕事には極めて意欲的で、X世代もほぼ同様。一方、ベビーブーマー世代はこうした世代に比べはるかに労働意欲に乏しい。
若者は中高年に比べて公的年金をあまり信頼していない。今の年金受給者は優遇されていると見なす若者は多く、Y世代の5人に1人にいたっては年金制度を民営化すべきと考える。
スイスの若者は他国に比べて年金への不安が強い外部リンクが、それは当然と言える。スイスの年金制度は内容が非常に充実しているが、それゆえに長期的に維持しにくい外部リンクからだ。
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子供のいない20~29歳の男女の約93%が子供を望んでいる外部リンク。これは前の世代が実際に子供を持った割合よりも多い。25~80歳の女性70%および男性64%に1人以上の子供がいる。
だが子供を望む気持ちは世代間でほとんど差がない。20~29歳の男女を対象に行われた1990年代のアンケートでは、子供が欲しくないと回答した女性は6.1%、男性は8.9%だけだった。つまり子供を望むことに関しては世代差はなく、理想と現実の差があるのみだ。
今どきの若者は前の世代に比べ実家暮らしが長い。理由は教育期間の長さや資金不足ではなく、快適さということが比較サイトComparisのアンケート外部リンク結果で分かった。社会人の子供は親に洗濯、掃除、料理をしてもらえる点を評価する上、親とけんかすることが滅多にないため、家を出ていく理由がない。
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