スイス国民の4割は連邦政府の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う行動制限などに賛意を示している。スイス公共放送協会(SRG SSR)の実施した世論調査で分かった。
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特に若年層やフランス語圏の住民は、政府がより厳しく取り締まることを望んでいる。
回答者の54%は政府の措置に賛成している。42%は当局がより個人の自由を制限するべきだと答えた。
調査はスイス公共放送協会(SRG SSR)の委託を受け、世論調査会社ソトモ外部リンクが21~22日にオンラインで実施。15歳以上の3万460人が回答し、24日に発表された。スイス政府は13日に100人以上集まるイベントの禁止や全国的な休校を指示し、イタリアからの入国を制限。17日には生活必需品以外の商店・サービス業の営業を禁止し、入国制限を他の国境にも拡大。20日には公共スペースで6人以上集まるのを禁止すると発表した。
欧州の感染の中心地であるイタリアに接するティチーノ州では、7割が政府の対応は遅すぎると回答した。フランス語圏でも64%が遅すぎるとしたが、ドイツ語圏では56%が適時に対応したと答えた。
日常生活への影響
調査では政府による行動制限が日常生活に大きな影響を与えたものの、切迫した抗議は特段出ていないことが分かった。
ソトモのミヒャエル・ヘルマン社長は「回答者の圧倒的多数は前週末に家にこもっていたわけではないが、それらの多くは接触する相手を5人未満に抑えた」と話す。
スイス政府は重症化しやすい65歳以上の高齢者を重点的に守ろうとしている。だが65歳以上に限ると、行動制限に厳密に従っているのはわずか25%だった。
ヘルマン氏は「危機は特に若い世代にマイナスの影響を与えている」と指摘する。夏前に暮らしが正常に戻るとみている人は、回答者のごく一部しかいなかったという。
今のところ、COVID-19が自身の健康にもたらす影響は軽度だと考える人が圧倒的多数で、感染の結果に対して恐れを抱いているのはごくわずかだ。
スイスの医療が急増するCOVID-19患者に対応しきれるかについて、15~44歳は中年・高齢者に比べ悲観的だ。またフランス・イタリア語圏はドイツ語圏に比べ悲観的な傾向もみられる。
政府への信頼
政府が信頼できるかどうかについて訊いたところ、6割は好意的な評価を与えた。
だがここでも言語圏別に大きな差があり、ドイツ語圏では他の言語圏に比べ政府への信頼が高いことが分かった。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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