スイスでは、労働者の権利は一般に手厚く守られている。フルタイムの労働時間は業種によって週45〜50時間を超えてはならないと法律で定められている。
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連邦統計局によると、フルタイム勤務のスイス人は平均で週に約41時間働く。すべての社員は年に4週間の休暇を取ることが認められているが、実際には多くの会社でこの法定最低日数よりも多くの休暇を取ることができる。祝日は会社の所在地がある州によって異なるが、最大9日。
社員が事故または妊娠により仕事を休んだ場合、その分の時間を埋め合わせる義務は発生しない。また、結婚、子供の出生(父親の場合)、近親者の死去、引っ越しの際にも有給での欠勤が認められている。具体的な期間はスイスの法律に明記されておらず、会社の判断に委ねられる。欠勤についての詳細はこちら外部リンク(英/独/仏/伊/ロマンシュ語)へ。
社員の性的指向、政党または宗教団体への帰属、労働組合の組合員であることを理由に、あるいは病気、妊娠または事故で仕事ができない状態のときに解雇することは法律で禁じられている。スイスの雇用法では、会社は社員に宗教上の祝祭日を祝うための休みを与えなければならない。しかし、希望する社員は3日以上前に休みを申請しなければならず、会社はその社員に別の日にその分の埋め合わせをするよう求めることが出来る。
男女同一賃金の原則は男女均等法に明記されている。性別にかかわらず同一労働に対しては同一賃金が支払われなければならない。この問題に関する詳しい情報は、連邦内務省男女均等待遇局のウェブサイト外部リンク(英/独/仏/伊語)へ。
スイスには国の定める最低賃金が存在しない。しかし多くの業種が団体労働協約を作り、賃金、労働時間、解雇の手続きを定めている。すべての社員には、退職の際に「誠実で好意的な」推薦状を受け取る権利がある。推薦状は、転職時の必須書類だ。
欧州連合(EU)または欧州自由貿易連合(EFTA)圏内の出身者はスイスの労働市場において、スイス人と同じ権利と便益を享受する。スイス国外の会社から派遣された社員であっても、スイス人労働者と同等の給与を支払わなければならない。
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