スイス軍は性的マイノリティー(少数者)の兵士の受け入れ態勢を強化している。性の多様性の担当部局を設けたほか、体と心の性が一致しないトランスジェンダーの人たちを「不適格」とし入隊を原則認めない規則を見直している。
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フランス語圏の日曜紙ル・マタン・ディマンシェと、ドイツ語圏の日曜紙ゾンタ―クス・ツァイトゥング外部リンクが報じた。ゾンタークス・ツァイトゥングによると、スイス軍はトランスジェンダーのテーマを扱う「多様なスイス軍」部局を人事部内に設立していたことが分かった。この部局は採用、医療、法務部門と連携し、兵士の「性のアイデンティティ」に対応する。
スイスは成人男性に兵役義務を課し、身体検査などで兵役に不適合と判断された場合は、社会奉仕活動などを行う。軍の現行の規則では、トランスジェンダーの人たちは兵役と社会奉仕活動のいずれも不適合と規定している。ただこれはあくまでも規則で、実際はケースバイケースで入隊を認めている。
スイス軍初のトランスジェンダーの女性クラウディア・サビーネ・マイアーさんが2013年、コソボでの平和維持活動に参加申請した際、性転換手術を受けていたことが軍の医療的見地から「任務に不適格」とされたケースがある。だが軍はのちにマイアーさんの派遣を認め、マイアーさんはコックとして働いた。
軍はマイアーさんの件があってから、社会の現状に照らし、規則を柔軟に運用するようになった。本人が身体、精神ともに健康で、ストレス耐性、回復力、適応性、忠誠心などの基準も問題がないと医者が判断すれば、トランスジェンダーの人たちの入隊を阻害する理由はないというものだ。ただ入隊を認められるケースは非常にまれで、年間18人ほどだという。
ただ連邦工科大学チューリヒ校が実施した調査「セキュリティ2019」によると、一般市民は同性愛者に対しても入隊を認めることに抵抗感を示した。調査では、14%が性的マイノリティの人々が軍の団結に影響を与えかねないと答えた。2020年初めには、男女5万3千人の兵士を対象とした政府調査が予定されている。
将来的には、軍の採用担当者が19歳の新兵に心と体の性を尋ねることを検討している。性別欄に「男性」「女性」のほか「その他」の選択肢も設ける予定だ。すでに軍訓練校などで試験的に実施しており、効果は上々という。
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