The Swiss voice in the world since 1935

温暖化、スイス農業にプラス?マイナス?

大量のレモンを選別する男性
米フロリダ州で収穫されるようなレモンが、いずれスイスでも採れるように…? Keystone / Lynne Sladky

気候変動に伴う異常気象は、スイス農業にどんな影響を及ぼすのか?スイス農家組合外部リンクは、異常気象により国内農家に影響が出ており、何らかの対策を講じなければならないと訴えた。一方で、デメリットばかりではないと指摘する声もある。

同組合の理事長で連邦下院議員のマルクス・リッター氏は、同日ベルン近郊の農場で開かれた記者会見外部リンクで「すぐに行動を起こさなくてはならない」と訴えた。

リッター氏は、霜やひょう、暴風雨、長期の雨や日照り、夏の干ばつが農家に与える影響は拡大していると述べた。例えば昨年の夏は極めて降雨が少なく、ジャガイモやトウモロコシ、小麦、動物の飼料など穀物に大きく影響した。

組合は、水の使用量がより少なくて済む、環境に優しい作物の生産を促進したい考えだ。

だが農業自体も気候変動の一因だ。温室効果を持つメタンガスは、牛のげっぷやおならからも排出されている。リッター氏は「これをゼロにするのは難しい」と語った。

組合は二酸化炭素法の改正を支持する。法改正は温室効果ガスの排出を減らし、気候変動に関するパリ協定へのスイスの貢献を促す内容だが、現在連邦議会で審議がストップしている。

温室やトラクターに使用される燃料を含むと、農業から発生する温室効果ガスは全体の13%を占める。

イチジク?

ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)のクリスティアン・フォン・ブルク記者は、気候変動がスイス農家に与えるのはデメリットだけではないと解説外部リンクする。暖かい気候により、これまで国内では栽培できなかったアンズやイチジク、キビ、大豆も育つ可能性がある。ワイン用のブドウの育成もよくなりそうだ。

フォン・ブルク記者は「これらすべては農業の役に立つ。 既に多くの農家は実験を始めている」と述べた。

一方、農家は気候変動の進行が速いことに不安を感じている。リッター氏は「このペースが続けば非常に温暖で乾燥した気候になる可能性がある」と警告した。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

大阪・関西万博

おすすめの記事

スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール

このコンテンツが公開されたのは、 日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。

もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
クラウス・シュワブ氏

おすすめの記事

WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任

このコンテンツが公開されたのは、 世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。

もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
コーデリア・ベール

おすすめの記事

TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

このコンテンツが公開されたのは、 米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。

もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
卵の棚

おすすめの記事

ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。

もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
スイスのカリン・ケラー・ズッター大統領

おすすめの記事

スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。

もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部