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スイスの飲み水はどこからやってくる?

コップに注がれる水
スイスの家庭部門は1人当たり1日142リットルの水が使われる Keystone / Oliver Berg

スイスの飲料水の8割は地下から汲まれた天然水だ。水源は豊富だが、少しずつ汚染されている。

スイスの飲料水には3種類の水源がある。4割は地下水、4割は湧水、残りの2割は川や湖などの表流水だ。地下水は雨水や雪解け水、氷河などを由来とする。

さまざまな空洞に溜まった水源地は巨大だ。延べ1500億立方メートルと、スイス中の湖を足し合わせた量に匹敵する。飲料水の需要を満たすために使われる水は、このうち100立方メートルにすぎない。

硝酸塩や残留農薬が飲料水に

スイス連邦環境省環境局水文学課外部リンクのロナルド・コツェル課長によると、地下水面や環境に恒常的な負荷をかけずに今の10倍の水を取得することが理論的には可能だ。

問題は、新しい取水施設を作るのが難しくなっていることだ。特にミッテルラントと呼ばれる西部のレマン湖から北東部のボーデン湖にかけての地域ではほぼ不可能になった。都市化が進み、農地が密集し、その結果利害関係が複雑に絡み合い、実際に利用可能な水は限られている、とコツェル氏は話す。

環境省を悩ませているのは量の問題ではない。連邦環境省は15日に発表した地下水に関する報告書NAQUA外部リンクで、「主に農業が原因で、地下水源の汚染が広がっている」と指摘した。汚染源は特に硝酸塩、残留農薬、医薬品、工場や手工業、家庭から排出される微量汚染物質だという。

国民1人当たりへの水の供給量は1日300リットルにのぼる(2017年)。1980年代半ばからスイスの人口は増え続けているが、飲料水の使用量は常に減っている。節水技術の普及や水道網における消失の抑制、各種製造業の生産現場が国外に移ったことなどが背景にある。

家庭での水使用量は1人当たり1日142リットルになる。その3分の1はトイレでの使用だ。

Grafik
Kai Reusser / swissinfo.ch

イニシアチブ「全ての人にきれいな飲み水を」

市民団体「全ての人のきれいな飲み水を」が提起したイニシアチブ(国民発議)「きれいな飲み水と健康的な食べ物のために外部リンク」は、農薬や抗生物質を予防薬として使わない農家にのみ(直接)補助金を支給しないように求める。国民投票の実施に必要な10万筆の署名を集め終え、2020年にも投票にかけられる見込みだ。

(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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