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1000フラン札は「スイス文化の一部」

スイスでは現金払いがまだ主流 Keystone

スイスの1000フラン札(約11万円)は世界で最も高額な紙幣の一つだ。欧州中央銀行は今月4日、違法行為を防止する目的で2018年末までに高額紙幣の500ユーロ札の発行を停止する計画を発表したが、スイス政府は「1000フラン札はスイス文化に欠かせない」として同紙幣発行の継続を明らかにした。

 スイス国内で流通している1000フラン札は、2000~14年の間に2千万枚から4千万枚へと倍増した。

 中道左派のスイス社会民主党マルグレット・キーナー・ネレン議員はテロリストや犯罪者間での現金取引やマネーロンダリングに悪用されやすいとの観点から、高額紙幣の流通を懸念する。

 だがスイス政府は19日、こうしたリスクを認識しており、高額紙幣を使った違法行為の防止に必要な対策はすでに講じられていると文書で回答した。

 対策として、国内での現金の引き出し・預け入れには既存の預金口座が必要なことに加え、今年1月からは、個人が現金で10万フラン以上の商品取引をする場合は、特別な精査や規定が適用されることなどを挙げている。
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 さらに、高額紙幣が違法行為に使われていることを示す情報は連邦警察庁のマネーロンダリング通報局(MROS)に報告されていないと回答している。

 過去数年間で1000フラン札の使用が増加していることについて政府は、国内で現金払い自体が増加傾向にあること、金融危機による銀行システムへの不信に起因するものとの見方を示している。昨年、フラン高が加速した際にも同様の傾向が見られたという。

 政府はクレジットカードの普及が比較的新しい傾向であるのに対し、「現金での支払いはスイス文化の重要な一部だ」と強調している。

(独語からの翻訳&編集・説田英香)

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