スイスの視点を10言語で

欧州の移民が集まる国、スイス

スイスは人口の外国人比率が特に高い国の一つに数えられる。スイスで暮らす外国人を出身国で見るとほとんどが欧州出身者だが、過去、その比率に変化はあったのか。スイスの166年にわたる移民の歴史を振り返る。

おすすめの記事
グラフィック

おすすめの記事

欧州の移民が集まる国、スイス

このコンテンツが公開されたのは、 スイスは人口の外国人比率が特に高い国の一つに数えられる。スイスで暮らす外国人を出身国で見るとほとんどが欧州出身者だが、過去、その比率に変化はあったのか。スイスの166年にわたる移民の歴史を振り返る。

もっと読む 欧州の移民が集まる国、スイス

 スイスに暮らす移民の8割以上が欧州諸国出身。スイスへの移民の歴史はドイツ、イタリアから始まり、少し遅れをとってフランスが続いた。スイスの166年の移民の歴史をグラフ化した。

外部リンクへ移動

 19世紀末、欧州で鉄道網が拡大したことに伴い移民の波が初めてスイスへと押し寄せた。それまでは、ほとんどが近隣諸国からだった。

 また、戦後の経済成長で雇用が増加し、1951~70年にスイスへの移民が著しく増えた。70、80年代に一度落ち着きを見せたものの、過去30年間で再び加速した。

 70年代末まで、イタリアとスペインから多くの外国人労働者がスイスへと移住した。スイスの経済状況が改善されると、ポルトガル、旧ユーゴスラビアなど他の国々からの移住者も増えた。

 更に近年はスイスの健全な経済状況や、スイスと欧州連合(EU)間の人の自由な移動を認める協定を背景に、EU加盟国をはじめとする国々から何万人もの労働者がスイスへと移住している。

 時代の変化と共に移民の特徴も変化した。過去の移民のほとんどは資格を持たない単純労働者だったが、今日のEU出身の移民はスイス人より高い資格を持っている。

 他国と比較すると、スイスに住む外国人は人口の約4分の1と割合が高いが、市民権を取得するための条件は非常に厳しい。

 スイスは出生地主義を取っていないため、スイス国内で生まれた外国人に対し、自動的にスイス国籍は付与されない。2016年、「外国籍」の住民の5人に1人がスイス生まれだった。また、国外で生まれたが、スイスに10年以上定住している外国人は全体の44%に上った。

(英語からの翻訳・大野瑠衣子)

おすすめの記事

おすすめの記事

スイス人口の25%を占める外国人 その内訳は?

このコンテンツが公開されたのは、 スイスに住む外国人の数は200万人以上。しばしば政治議論の対象となるこれらの「非スイス人」は、昨年の時点でスイスの人口830万人の4分の1近くを占める。では、これらの「非スイス人」とは、具体的にどんな人々なのだろう?グラフで解説する。

もっと読む スイス人口の25%を占める外国人 その内訳は?
おすすめの記事
おすすめの記事

おすすめの記事

世界の現状は本当に前代未聞の移民危機なのか?

このコンテンツが公開されたのは、  「2015年の世界の移民数は2億4400万人で、世界人口の3.3%を占める」。前回の記事でも触れたが、この国連発表の数字はよく引用される。しかし、このインパクトの大きな数字が示すのは「移民ストック」、すなわち、生まれた…

もっと読む 世界の現状は本当に前代未聞の移民危機なのか?
おすすめの記事

おすすめの記事

欧州で最も多くの移民を引きつける国は?

このコンテンツが公開されたのは、 移民危機への対処に苦しむ欧州で、人の自由な移動を定めた合意が標的になっている。そのような中で、入ってくる移民より移民として出て行く国民の方が多い国はどこだろう?

もっと読む 欧州で最も多くの移民を引きつける国は?




人気の記事

世界の読者と意見交換

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部