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ジュネーブの国連職員がストライキ

国連ジュネーブ事務局の会議ホール
国連の人権委員会が開かれる会議場は16日、国連職員のストライキで無人になる UN Photo

 国連の人権理事会外部リンクなどスイス・ジュネーブで開かれる重要な会議が16日、国連職員が1日限りのストライキ実施を決めたため延期となった。職員らは賃下げや労働条件の悪化に異議を唱えている。

 国連のジュネーブ事務局に勤める1千人超の公務員が15日、1日限りのストライキ実施に賛成した。120人は反対票を投じた。

 スイス通信によると、16日に開催予定だった第37回人権理事会の会議は延期となった。会議は19日か20日に開く予定。人権理事会と並行して開く各国や非政府組織(NGO)による関連会議は予定通り16日に開催する。

 国際職員組合連絡委員会(CCISUA)外部リンクのイアン・リチャーズ委員長によると、「他の重要会議も中止された」。ストライキの実施は「ジュネーブや現場の国連職員が、その労働条件のためにどれだけ組織への信頼を失っているかを示している」という。

 2月にもジュネーブ事務局職員は半日のストライキを実施した。17年4月以降、同事務局職員は毎年の賃下げに対する抗議を強めている。また「職員の賃金や労働条件を、透明性が高く参加型、公正・公平な方法で決める」よう求める広範な国連の抗議活動にも加わる。

 リチャーズ氏は「国連の運営側からストライキを止めるよう脅迫めいた電子メールが送られ、火に油を注いだ」と話す。

 国連人事委員会(ICSC)外部リンクは昨年、ジュネーブ事務局の職員の賃金を5.1%引き下げる提案をした。物価の高いジュネーブで働く職員に対する「地域調整手当て」も引き下げの対象だ。

 ICSCは世界各地にある国連関連機関の所在地で生活費を調査。購買力の下がったニューヨークの職員と水準を揃えるため、ジュネーブの職員も賃金を引き下げることを決めた。

 ジュネーブには国連の事務局「パレ・デ・ナシオン外部リンク」のほか、世界保健機関(WHO)外部リンクをはじめとする多くの国連関連機関が点在。職員数は延べ約9500人に上る。

SDA-ATS/sb

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