起業
スイスでは、外国人を含め誰もがスイスで事業の経営や会社の設立など経済利益を追求できると連邦憲法で認められている。
しかし、それには一定の条件がある。法律上、スイスで起業を許されるのは、有効なC許可証(第三国出身者に対する定住許可)の所持者とその配偶者、もしくはスイス人配偶者のみ。
これ以外の外国人はスイスで起業する法的権利を持たないため、州の管轄局に申請書を提出することになる。起業には個人的な必要性だけでなく、設立する会社が「スイスの労働市場にとって永続的で好ましい効果や影響」をもたらすものでなくてはならない。
永続的で好ましい効果・影響とは、▽新しく設立した会社や自営業者が地域経済の産業多様化に貢献▽現地の雇用を創出または維持▽スイス経済にとって重要な投資や新規発注を生む――などを指す。
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自営業
そのため、起業家は移住前から極めて明確な事業計画を持っていなければならない。認可取得には説得力のある計画が最良の基盤であり、他企業との組織的なつながりも欠かせない。申請時には、設立趣意書や商業登記簿謄本の提出も求められる。
州当局の許可が下りると、第三国出身者には短期滞在許可(L許可証)か初期滞在許可(B許可証)が発行される。両許可証は割り当て(クオーター)制で発給数が制限されており、その数は連邦政府が毎年設定している。
B許可証は1年間有効で、通常は相当の理由がない限り延長される。短期滞在許可(L許可証)も1年間有効で例外的に12カ月まで延長可能。
スイスで設立できる企業の種類は以下の通り。
- 支社
- スイスにある既存企業の買収
- ジョイントベンチャー
- 戦略的提携(ストラテジックアライアンス)
企業設立に通常必要な手続きは以下の通り。
- 公証人立会いの下での定款作成
- 払込資本金を預ける銀行口座の開設
- 法人となるにあたり、現地の商業登記所へ定款を提出
- 印紙税の支払い ― 資本金の1%。ただし100万フランまでは免除
- 付加価値税の登録
- 連邦・州の社会保障制度への社員の加入
自営:スイスで行う事業が、自営、合名会社、有限責任組合である場合、登記は連邦政府のSMEポータル(独/仏/伊語)外部リンクでも可能。英語での詳細はこちら外部リンクを参照。
スイスでの起業に関するさらなる情報は、スイス・グローバル・エンタープライズのサイト(日本語その他)外部リンクを参照。
事業活動のための不動産購入
営利目的の場合、投資家が購入できるのは、商業用の不動産(製造施設、倉庫施設、オフィス、ショッピングセンター、小売店、ホテル、レストラン、作業場など)のみ。
これらの不動産であれば購入に許認可は必要なく、不動産は購入者の事業に使用しても、商業用として第三者に賃貸やリースしてもよく、また単なる投資として購入してもかまわない。
購入者はまた、建築や購入、先買いや買戻しなどの権利も有する。
住宅の建造や賃借、リースは正規の事業活動とはみなされず、これらの目的での不動産購入は禁じられている。外国人がスイスで不動産を購入する場合の情報は連邦司法警察省司法局(BJ/OFJ)のサイト(英/独/仏/伊語)外部リンクを参照。
ローンと融資
スイスの不動産融資は、固定金利、変動金利、短期金利連動型の三つに大別される。
他の市場と同様、変動金利ローンは常に資本市場レートに合わせて変動し、固定金利ローンは一般に3年から5年の間金利が固定される。短期金利連動はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)をベースとする。これに手数料が加算されるが、その金額は借主の信用度によって変わる。
購入者は通常、購入時に購入価格の最低2割を支払う。うち半分以上は現金払いで、残りは借主の年金積立金から支払うことも可能。年間返済額の合計は、購入者の総収入の3分の1を超えてはならない。金利は交渉可能なため、複数の業者に当たるべき。借り入れは不動産の市場価格の8割まで可能。
居住用不動産の所有者は、連邦と州に税金を支払う。持ち家の所有者は、ローンの金利やメンテナンス費用を税金から控除できる。
オフィスや商業ビルのローン資産価値比率は通常70%前後。
スイスの不動産ローンに関する独・仏語の詳細はHausinfo外部リンクを参照。
スイス国外のビジネスネットワーク
スイス・ビジネス・ハブは、世界各国での事業展開を考える起業家やスイスでの事業を考えている外国人起業家向けの連邦政府のポータルサイト。
特定のメーカーを探し出したりコンタクトを取ったりする際の支援を行うほか、有益な情報も提供する。
英国、ドイツ、フランスなどの欧州各国や、米国、ロシア、シンガーポール、南アなどに拠点を置く。
スイス・ビジネス・ハブの全拠点は、スイス・グローバル・エンタープライズのサイト外部リンクを参照。
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