スイス南部ヴァレー(ヴァリス)州ツェルマットで、豪雪と雪崩警報のため運休していた鉄道が10日夕、運行を再開した。雪崩警報は一時最高のレベル5から3に引き下げられたが、地元警察は引き続き警戒を呼びかけている。
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連邦森林降雪国土研究所外部リンクは8日、ツェルマットを含むヴァレー州の一部地域に2009年以来となるレベル5の雪崩警報を発令。ツェルマットへの鉄道は同日から運休、道路も雪で寸断され、現地に滞在していた計1万3千人のスキー客が足止めされた。スイス南部に発令されている雪崩警報は11日午前8時時点でいずれもレベル3以下。
マッターホルン・ゴッタルド鉄道は10日夜、テーシュ~ツェルマット間の路線をふさいでいた雪の除去が終了し、同区間の通常運転を再開。残りの運休区間は代替バスが運行しているが、11日中にも全線が再開される見通し。
ツェルマットからゴルナーグラート山頂(標高3100メートル)を結ぶゴルナーグラート鉄道は、ツェルマットから中間駅のリッフェルベルク駅間の運行を再開。11日朝に同路線を利用した乗客はツイッター上で、ツェルマット~テーシュ間の道路が開通しているとの情報を寄せた。一部のスキーゲレンデとハイキングルートが再開しているとの情報もある。
>>ツェルマットのスキー場を見舞った雪の被害
ツェルマット周辺はここ数日の豪雪と雪崩警報で交通が遮断され、一時孤立状態に陥った。9日午後には緊急用のヘリコプターが到着。一部メディアは、地元の関係機関が足止めされていた人たちをヘリコプターで輸送したと報じた。
スイス南西部の地域でも豪雪で交通に大きな影響が出た。ヴァレー州サース・フェーにあるスキー場へのアクセスも不通となっていた。
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ルツェルン応用科学芸術大学がまとめた「スイスにおけるリフト業界の経営状況(2013・14年版)」によると、スイス国内のリフト運営会社のうち3分の2が助成金頼りの経営を余儀なくされている。
その原因の一つが暖冬による影響。特に標高の低いスキー場にとって深刻だ。また、スキー人口の減少に加え外国との競合もある。スイスの物価高に辟易(へきえき)した観光客が近隣諸国のスキーリゾートに流れているのだ。
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氷河の南端にあたる同州のリーダーアルプの村からゴンドラリフトで上がると、モースフルー展望台(2333メートル)に着く。展望台に立つと、アレッチ氷河の息をのむ美しさが眼前に広がる。グレーと白色が織り交ざった氷の河が、雄大なアルプスの山あいを縫うように流れる。
年配の日本人夫婦の観光客がベンチに座り、弁当を広げて景観を楽しんでいた。男性は「ここに来るのはこの17年間で3回目になるが、来るたびに氷河の様子が少しずつ変わっている。以前より河の幅が狭くなったし、氷の厚さもずいぶん減った。それでもやはり美しいけれど」と話す。
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