スイス金融大手のクレディ・スイスは22日、世界の富を包括的に調査分析した「2016年グローバル・ウェルス・レポート」を発表。スイスの成人1人当たりの富の平均額が56万1900ドル(約6千200万円)と、世界最高額であることを明らかにした。スイスは16年連続でトップの座を維持している。
このコンテンツが公開されたのは、
今回で第7版となる同レポートのランキングでは、1位のスイスに、オーストラリア(37万6千ドル)、米国(34万5千ドル)、ノルウェー(31万2千ドル)が続いた。
首位となったスイスだが、成人1人当たりの平均額は前年比で約2万7千ドル少なく、また資産総額100万ドル超の富裕層は、2015年の77万4千人から71万6千人に減少した。資産総額が5千万ドル以上の超富裕層はおよそ2千人で、米国、中国、英国、ドイツに続き5位にとどまった。
00年以降、スイスは富の平均額において世界をけん引してきた存在だ。クレディ・スイス研究所によれば、スイスは12年以来、成人1人当たりの富が毎年50万ドルを超え、これは他の国では達成されていないという。
また01年からは成人1人当たりの中央値でもトップを維持。現在の中央値は24万4千ドル。
調査によれば、スイス人は世界の平均的な市民よりも11倍裕福で、成人のほぼ3分の2が10万ドル以上の富を所有している。
スイスフラン
さらにレポートは、スイスの成人1人当たりにおける富の増加の大半は、01年から13年のスイスフランの対米ドル上昇によるものであると分析。スイスフランをベースとした家計の富は00年から16年にかけて44%増加し、年平均の増加率は2.3%だった。
またスイスの金融資産は総資産の55%を占め、英国のシェアよりも高く、日本や米国のシェアよりは低くなっている。
負債は成人1人当たり平均14万3400ドル。世界で最も高い国の1つで、総資産の20%を占めている。
(英語からの翻訳・大野瑠衣子)
続きを読む
おすすめの記事
金持ちはどうやって億万長者になるのか?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス経済誌「ビランツ」は1989年に初めてスイスの長者番付を発表した。その年の上位100人の資産額合計は660億フランで、今年の上位2人の資産額合計よりも少ない。1位はスウェーデンの家具大手イケアを経営するカンプラード…
もっと読む 金持ちはどうやって億万長者になるのか?
おすすめの記事
外国からの富裕層をゲット、それは世界で広まる競争
このコンテンツが公開されたのは、
寛大な税制優遇措置を提供し、裕福な外国人を呼び込もうとする国はスイスだけではない。特に英国とポルトガルはその筆頭だ。税金を少しでも少なく払おうと国外へ転出する納税者をいち早く糾弾するフランスでさえ、金持ちの外国人には色目を使う。スイスでは、11月30日の国民投票でこうした富裕層対象の税制優遇措置「一括税」の廃止が問われる。
男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ」で11月21~23日、スイスは史上2度目となる決勝戦に挑み、フランスと対決する。この対決はスポーツの枠を超えて、独特な政治的様相を帯びそうだ。
もっと読む 外国からの富裕層をゲット、それは世界で広まる競争
おすすめの記事
裕福な国スイスでのホームレス生活
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは世界でも裕福な国の一つだが、貧困層は約60万人いる。その一人だったのがニッギ・シュヴァルトさん(66)。チューリヒの路上でホームレス生活を送り、物乞いをしていた。街の案内人となった現在は、人々にこれまでの人生を語り、豊かな都会の知られざる面を紹介している。
もっと読む 裕福な国スイスでのホームレス生活
おすすめの記事
富裕層の遺産相続に課税し、年金制度を支える
このコンテンツが公開されたのは、
200万フラン(約2億6千万円)以上の遺産相続に課税することで富を再分配し、年金制度の財源を確保する。これが左派の立ち上げたイニシアチブ(国民発議)だ。だが中道派や右派は、新税制では特に家族経営の企業にとって税負担が増大し、その存続が危機にさらされかねないとして反対している。新たな相続税の導入案をめぐり6月14日、国民投票でその是非が問われる。
もっと読む 富裕層の遺産相続に課税し、年金制度を支える
おすすめの記事
高級リゾート地ヴェルビエ 価格戦略で客離れ防ぐ
このコンテンツが公開されたのは、
2月の寒い朝。ヴェルビエの中心部にあるメドラン・バブルリフト乗り場の前では、何十人もの子どもと親が、スキーインストラクターの登場を辛抱強く待っている。灰色の雲と舞い落ちる雪の下で、さまざまな言語と笑い声があふれている。…
もっと読む 高級リゾート地ヴェルビエ 価格戦略で客離れ防ぐ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。