ウエリ・シュテック~生死の稜線上で~⑱
ウエリ・シュテックは、アンナプルナの岩壁登頂を証明するものを、何一つ持っていなかった。エクストリーム登山の辞め時だと感じたシュテックは、最後のプロジェクトを終えたあと、プロダクトデザイナーとして新しい一歩を踏み出そうと決心する。
アンナプルナの岩壁登はんで、シュテックはカメラも持たず、時計のGPS機能も付けていなかった。登頂時は真っ暗で、下から見ていた人物も居ない。シュテックは嘘つき呼ばわりされた。
2017年、40歳になったウエリ・シュテックは、エクストレーム登山キャリア最後の一大プロジェクトに乗り出す。8千メートル級のエベレストとローチェを続けて無酸素で登るという計画だった。「あくまでスポーツ上の挑戦で、自殺行為ではない」。シュテックはカメラの前でそう言い切った。
「ウエリ・シュテック~生死の稜線上で~」
2020年5月21日にドイツ語圏のスイス公共放送で放送されたスイス人登山家ウエリ・シュテックのドキュメンタリー番組(約1時間35分)。
2017年春にエベレストで滑落し、40歳の若さで亡くなったシュテック。人間離れした登山スピードと卓越した登攀技術から「スイスマシーン」と呼ばれ、数々の新記録を打ち立てた。番組ではそんなシュテックの半生を本人や家族、友人のインタビューと共に振り返る。
スイスインフォでは同番組を5分ずつに分け、日本語字幕付きで水・土曜日の週2回配信する。
※日本語字幕付きで視聴される方は、画面の字幕設定をオンにしてご覧ください。
おすすめの記事
ウエリ・シュテック~生死の稜線上で~⑰
(本文&独語からの翻訳・大野瑠衣子)
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。