ブロッハー相落選!
渦中の人クリストフ・ブロッハー司法警察相は、今朝の選挙で次点となり、再任を阻まれた。それ以外のメンバーは全員再選が決まった。
ブロッハー相の代わりに選ばれたのは、同じ国民党 ( SVP/UDC ) 員でグラウビュンデン州参事官のエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ氏だ。
しかし、ヴィトマー・シュルンプフ氏自身は立候補していない。同氏に投票したのはおもに社会民主党(SP/PS)や緑の党 ( Grüne/Les Verts ) などの左派。1回目の選挙では2人とも過半数を得ることができず、持ち越された2回目の選挙でシュルンプフ氏は125票、ブロッハー相は115票の得票となり、過半数票を得たシュルンプフ氏に軍配が上がった。
波乱万丈の選挙
シュルンプフ氏は連邦国民議会議員でも全州議会議員でもない。そのため、国民党は同氏を至急、選挙会場の連邦議事堂へ呼び寄せた。しかし、シュルンプフ氏や国民党の態度は定まらず、最終決定は明日13日午前8時まで延期されることとなった。
国民党幹部はブロッハー相以外の党員の当選は受け入れず、当選した議員が辞退しない場合、当大臣は国民党議会議員の支持を得られないとする構えだ。また、ブロッハー相が再選されなかった場合はもう1人の国民党大臣であるサムエル・シュミット国防・国民保護・スポーツ相も退任させ、完全に野党に回ると宣言している。シュルンプフ氏が当選を辞退すれば、このポストをめぐる選挙は、やり直しとなる。明日の展開はまったく予想できないというのが、多くの政治家やマスコミの見方だ。
これまでの内閣
連邦内閣を構成する連邦大臣は全部で7人。4年前に行われた前回の選挙では政党配分が45年ぶりに変わり、支持率の上昇が続いた国民党 が1人から2人に配分を増やした。その代わりに1席を失ったのは低迷中だったキリスト教民主党 ( CVP/PDC ) で、現在の連邦大臣は1人。残りの社会民主党と急進民主党 ( FDP/PRD ) はそれぞれ2人ずつ大臣を出している。
ブロッハー相は合議制を無視した単独行動が目立ち、外国人排斥の色が濃い政策でも非難の的となっている。そのため、左派の社会民主党と緑の党 ( Grüne/Les Verts ) はブロッハー相の退陣を要求。一方、右派中道の急進民主党はこれまでの体制を支持している。残るキリスト教民主党は前回手放した1席を取り戻すことはまだ考えていないが、ブロッハー司法警察相は支持しないと前日に発表していた。
swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )
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合議制 ( Konkordanz/Concordance)
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クリストフ・ブロッハー司法警察相 ( 国民党、2004年就任 )
落選
ハンス・ルドルフ・メルツ財務相 ( 急進民主党、2004年就任 )
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ドリス・ロイタルト経済相 ( キリスト教民主党、2006年就任 )
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