「独力では解決できない」
ドリス・ロイタルト連邦大統領は現在、中国を訪問中だ。8月12日は上海万博の「スイスデー」。スイス館を訪れたロイタルト連邦大統領は、演説で両国家の協力を呼びかけた。
館内も観覧したが、リフトの作動が中止されていたため、止まっているリフトに腰掛けて写真撮影のポーズを取るだけとなった。
世界は一つ
「スイスはより良い生活のモデルです」。スイスデーを迎え、中国人の司会者はおよそ400人の来賓の前でスイスをこう紹介した。今年、上海で開催されている万博のテーマは「より良い都市、より良い生活 ( Better City. Better Life ) 」だ。
だが、スイスは一国だけで持続可能な発展を目指しているわけではないとロイタルト連邦大統領は強調する。
「これはすべての国家が目指すべき事柄です。この分野では分析や研究が重要ですが、一国だけで行っていてもどうにもなりません。国境に突き当たって終ってしまうものではないのです。世界は一つなのです」
ロイタルト連邦大統領はまた、環境問題に関するスイスと中国の協力は順調に進んでいると語った。
「国交樹立60年を迎えた今、大切なのは両国間の結びつきを深めることです」
リフトの事故
ロイタルト連邦大統領はこの日の午後スイス館を一巡りしたが、人気のリフトに乗っての観覧はならなかった。8月9日に事故が発生したためだ。1脚のリフトチェアが滑り出し、前方のリフトチェアとぶつかって、入場客の中国人女性1人が足を骨折した。
そのため、11日以降リフトの運行は中止されている。運行が再開されるのは、適切な調整が行われた後になる。スイス館の責任者マヌエル・サルクリ氏は
「リフト『スイスライズ ( Swissrides ) 』の製造元は、数週間前からケーブルやマスト用のアプリケーションを追加開発しているところです」
と説明する。
また
「リフトを使うことになったとき、定評のあるものはわざと起用しませんでした。革新的なプレゼンテーションをする必要があったからです。そして、革新には常にある程度のリスクがつきまといます。汚れたリフト、熱、湿気、しずくなどを明らかに甘く見ていました」
と語る。
いずれにしても、万博終了前にリフトを再稼動したいものだ。サルクリ氏はこの件がスイスのイメージダウンにつながったとは考えていない。
「スイスが安全を第一に考えていることを中国の人々は評価してくれていると思います」
swissinfo.ch
万博に出展している国はすべて、「ナショナルデー」を開催することができる。
ドリス・ロイタルト連邦大統領は、中国館、ジュネーブ、バーゼル、チューリヒの町のパビリオン、スイス館を訪問した。
この訪問には中国とスイスの高位関係者数百人が同伴した。
スイス館の入場者数は1日当たり1万2000人。
ドリス・ロイタルト連邦大統領は8月10日から15日まで、経済界の高位関係者とともに中国を訪問している。
国民議会議員で「機械電気金属産業連盟 ( Swissmem ) 」会長のヨハン・シュナイダー・アマン氏、元国民議会議員で「経済連合 ( Economiesuisse ) 」会長のゲロルト・ビューラー氏、航空会社「スイス・インターナショナル・エアラインズ ( Swiss International Airlines ) 」のハリー・ホーマイスターCEOも同行している。
重慶市を訪ねた後、8月12日に上海万博「スイスデー」の開幕を宣言した。
13日には北京で温家宝首相と会談する予定。
14日、北京で中国・スイス経済フォーラムの開幕を宣言したあと、15日に帰国予定。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。