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「高校生平和大使」、核兵器廃絶を訴える

今年の8人の高校生平和大使は長崎から2人、長崎以外から2人、ペルー、韓国、ブラジルから4人と国際色豊かなのも特色。国境を越えて平和への願いは世界の若者の間に広がっている swissinfo.ch

長崎市平和団体が派遣した8人の「高校生平和大使」は23日、ジュネーブ国連欧州本部でティム・コーリー軍縮会議事務次長に面会し、おのおのが「核兵器廃絶と平和への願い」を率直に訴えた。

また同時に、今年集めた7万9244の署名も手渡した。この署名はコーリー事務次長からニューヨークの潘基文 ( パン・ギムン ) 国連事務総長の手に渡される。

1998年のインド・パキスタンが行った核実験を契機に、長崎の平和団体は高校生平和大使を送ることに決定した。以来今年で10年、計34人の高校生が大使として、ニューヨーク国連本部やジュネーブ欧州本部を訪問し、核兵器廃絶と平和を訴えてきた。若者を大使に選んだ背景には、被爆者の高齢化に伴い被爆体験を若い世代に伝え続けていきたいという願いがあった。

真摯なスピーチ

 コーリー事務次長を前に、8人の高校生平和大使たちは核兵器廃絶と平和への願いを、自分の言葉で真摯(しんし)に語った。

 鹿児島出身の笛田満里奈さんは、「世界が核兵器を持ち合うことで力のバランスが保たれ、戦争が無くなるという意見もあるが、私はそう思わない。核兵器があることで、世界はいつ無くなってもおかしくないという危機に立たされている」と語り、「信頼関係を作る場である国連に期待する」と核兵器廃絶の原点に立った意見を述べた。

 今回の大使団には2人の被爆者3世がいる。その1人長崎の草野昴志郎 ( くさの こうしろう ) さんは「各地の被爆者たちの高齢化が進み、後遺症に苦しみ続ける一方、私たち若者の活動に期待を抱いている」と語り、今後も活動を続けていくという誓いを新たにした。

 またもう1人の被爆者3世で、韓国から参加した李建雨 ( リー・ケウンオー ) さんは韓国での署名活動にも奔走した高校生の1人だ。「高校生1万人署名活動」は、高校生たちが全国の学校や街頭で核兵器廃絶のための署名を集める運動。高校生平和大使たちが帰国後「自分たちの力で核兵器廃絶への活動を」と、2001年にスタートした。

今年は韓国からの1万、ブラジルからも1780の署名が集まり、計7万9242となった。今年を含めた累計は36万2149になる。

運動の継続を心から支持

 高校生平和大使たちのスピーチを受けた後、コーリー事務次長は「原爆は62年前に落とされ被爆者たちは高齢化している。しかし彼らの経験と平和への意志が3世代目に確実に伝えられていることに、今回非常に感銘を受けた」と語った。

 さらに「こうした市民の声が存在することは軍縮交渉を進める励みになる。また、各政府に対しては核軍縮交渉を真摯に、正直な姿勢で努力していくよう意識させ続けることになる」と述べこの運動の継続を心から支持した。 

 今回の訪問の報告は署名とともに、ニューヨークの潘国連事務総長の元に届けられる。「その後、なんらかの形でジュネーブの軍縮会議にもメッセージが返ってくるはず」とコーリー事務次長は結んだ。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

以下の高校生平和大使8人は、国内外の100人を超える応募者の中から選考された。高村千紗 ( たかむら かずさ ) さん、笛田満里奈さん、草野昴志郎 ( くさの こうしろう ) さん、平井翔子さん、李建雨 ( リー・ケウンオー ) さん、オルテガ・マリアさん、マルシェロ・クレマーさん、プリシラ・ユミコ・フジカワさん

今回、ブラジルから2人の高校生平和大使が選考された背景には、南米で核兵器廃絶を訴え続けてきた被爆者である森隆さん ( 83 歳 ) の努力が大きい。

ブラジルの高校生平和大使、マルシェロ・クレマーさんは「森さんから多くのことを学んだ。ブラジルの若者に核兵器の恐ろしさを伝えていきたい」と語った。

南米には188人の被爆者がいる。また韓国にも2500人の被爆者がいる。

今回の訪問には8人の高校生平和大使以外に、川副忠子氏を団長とした被爆者及び市民も12人参加した。一行は24日ベルン、25日リヒテンシュタインを訪れ、平和へのメッセージを伝える。

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