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ポピュリズム、死刑、親権、縛り…スイスのメディアが報じた日本のニュース

緑色にライトアップされた大聖堂
「死刑に反対する都市」の1つとしてライトアップされたジュネーブのサン・ピエール大聖堂 KEYSTONE/Salvatore Di Nolfi

スイスの主要報道機関が先週(12月2日〜8日)伝えた日本関連のニュースから、①日本にポピュリズム台頭?②死刑制度の欠陥③単独親権を題材にした仏・ベルギー映画、④ミラノの「縛り」道場、の4件を要約して紹介します。

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日本にポピュリズム台頭?

「日本は長い間、安定した民主主義の国とみなされてきた。だが穏やかな表面の下では、ポピュリストが勢力を増している」。ドイツ語圏の大手紙NZZは、斎藤元彦氏が出直し選挙で兵庫県知事に返り咲いたことを題材に、日本と欧米で進行するポピュリズムの共通点と相違点を考察しました。

斉藤氏はYouTubeなどソーシャルメディアを味方につけ支持を広げたとされ、その点でドナルド・トランプ氏と共通するとの指摘があります。一方、日本では、人口の大部分を占める高齢世代はなお既存メディアへの信頼が高く、政治的分裂を引き起こしている、とシンクタンク地経学研究所の石川雄介氏は話します。

また欧州の右翼ポピュリズムと対照的に、日本のポピュリズムは「本質的に新自由主義だ」と記事は指摘します。日本で成功したポピュリストの選挙運動は、労働者階級ではなく、地方部を金銭的に支えなくてはならない都市部の中流階級の不満を吸い上げています。こうした手法は地方部では受け入れられにくく、全国的な勝利にはつながらない、と石川氏は分析します。

米国の日本政治専門家トビアス・ハリス氏は、「一部の政治家が不満を持った有権者を動員できるということは、政治から見放されていると感じるマイノリティー(少数派)が存在することを強調する」と分析します。SNSの活用だけで右翼ポピュリズムが勢力を広げられるわけではないものの、「変化の機が熟している」と警鐘を鳴らしました。(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語)

死刑制度の欠陥

今年9月、1968年に死刑判決を受けた袴田巌さんの無罪判決が確定しました。11月には「日本の死刑制度について考える懇話会外部リンク」が報告書を公表。フリージャーナリストの西村カリン氏はフランス語圏のスイス公共放送(RTS)で、死刑廃止論者が日本で困難な闘いを強いられていると伝えました。

報告書は、世界で死刑廃止が多数派となった今、死刑制度がもたらす問題を幅広く議論するよう求めました。これに対し日本政府は、世論調査で8割が死刑制度に賛成していることを根拠に、「現段階では死刑を議論するための委員会を設置する考えはない」との立場を示しています。

西村氏は袴田さんの姉・ひで子さんや、主任弁護士を務めた小川秀世氏、懇話会委員の中本和洋・元日弁連会長らに話を聞き、死刑制度の欠陥を突きます。最大の問題点として、収監が長期にわたるうえ、死刑執行はそのわずか2時間前に知らされることが人権を侵害すると指摘しました。(出典:RTS外部リンク/フランス語)

単独親権を題材にした仏・ベルギー映画

仏・ベルギー国籍のギヨーム・セネズ監督の長編第3作「Une Part manquante(仮訳:失った部分)」が4日からスイス・フランス語圏で公開されています。日本の共同親権をテーマにしたこの作品について、フランス語圏各紙が監督インタビューを掲載しました。

映画の舞台は東京。タクシー運転手のジェロームが日本人の元妻に「誘拐」された娘リリーを探しながら日夜車を走らせます。フランス語圏の大手紙ル・タンによると、実際に俳優のロマン・デュリスがトランクにカメラマンや音響技師が乗ったタクシーを運転し、東京の街を走ったそうです。デュリスはセネズ監督の前作「パパは奮闘中!」(2018年)でも主役を演じ、その撮影時に監督と次の作品の舞台を日本にすることで意気投合しました。

「日本では最初にドアにカギをかけた人が勝ち。とてもシンプルでクレイジーだ」。ヴォー州の日刊紙24 heuresは、最も決断力がある、または最も素早い親の一方的な決断により、毎年15万~20万人の子どもが母または父の単独親権に置かれると伝えました。同紙のインタビューに答えた監督は、前作の撮影中に在日フランス人から聞いた「信じられない話」を紹介しました。「父親や母親は刑務所に入る危険を冒して慰謝料を払っているのに、その見返りとして子どもとの面会を要求する権利すらない」

日本では今年5月、民放改正で離婚後の共同親権が導入されました。これについてセネズ監督は、ル・タンに「施行されるのは2年後で、遡及効果はない。だから残念ながら、私たちが現地で会った全ての母親・父親にとって、法改正が何かを変えることはない」と答えました。

RTSのインタビューでは、主人公を東京在住歴15年という設定にし、日本の常套句的な素材は排除したと語りました。「エキゾチックになりそうなものは全て取り除いた。だから富士山もまねき猫も、カラオケも映さなかった」(出典:ル・タン外部リンク24heures外部リンクRTS外部リンク/フランス語)

ミラノの「縛り」道場

密かに海外で注目を浴びている日本の「縛り(緊縛)」手法。先月にはスイスの首都ベルンでもスイスSHIBARI祭り外部リンクが開催されました。ミラノ郊外にある縛り道場「Rope Tales外部リンク」のルポをイタリア語圏の日刊紙コリエーレ・デル・ティチーノが掲載しました。

主催するのはイタリア人のマルタ・テンシコさん(33)とフェデリコ・キリガミさん(36)夫妻。縛りを伝承するために世界中を回り、25カ国で専門誌を発行しています。

道場では参加者約20人がペアになって畳に座り、結び方を修練します。互いの同意が必要なこと、全てを中止するときの緊急ワード、不適切行為の報告義務など、危険を避けるためのルールを徹底しています。

なぜ人々は縛りに興じるのでしょうか?参加者の前でデモンストレーションを演じたマルタさんは「縛りだけが私を連れて行ける空間に連れて行ってくれる。それは感情的な記憶と結びついた強力な感覚です」と語りました。(出典:コリエーレ・デル・ティチーノ外部リンク/イタリア語)

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先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー」(記事/日本語)でした。他に「自殺カプセル『サルコ』運営団体代表が釈放 70日拘束」(記事/日本語)、「狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部」(記事/日本語)も良く読まれました。

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担当: Matthew Allen

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