スイスの視点を10言語で

スイス下院、同性婚合法化を可決

レズビアンのカップル
同性婚の合法化にまた一歩近づいた © Keystone / Gaetan Bally

スイス国民議会(下院)は11日、同性婚を合法化する法改正案を可決した。議論の分かれていたレズビアンカップルへの精子提供についても賛成多数で可決した。審議は全州議会(上院)に移る。

同成婚の合法化は賛成132票、反対53票、棄権13票だった。レズビアンのカップルへの精子提供については、賛成124票、反対72票、棄権1票だった。

審議は全州議会(上院)に移る。

法改正案に反対したのは保守系右派の国民党(SVP/UDC)と、中道右派のキリスト教民主党(CVP/PDC)の一部議員ら。これらの党は婚姻法の改正自体に反対している。

ただ、最終判断は有権者にゆだねられることになりそうだ。保守政党のスイス連邦民主同盟は法改正に反対するレファレンダムを提起した。

多くの欧州諸国では同性婚が認められている。スイスでは同性婚は禁止されているが、パートナーシップ制度への登録はできる。ただ権利・義務は制限され、例えば連れ子以外の養子縁組などは認められていない。

レズビアンカップルへの精子提供

レズビアンのカップルへの精子提供に関し、議会の諮問法務委員会は反対を勧告。連邦内閣も反対を表明していた。しかし社会民主党、緑の党、自由緑の党、急進民主党などが支持した。

カリン・ケラー・ズッター司法相は同性婚の合法化を「現行の不平等を是正する」として歓迎。ただ、レズビアンカップルへの精子提供については、精子提供者の父親の権利など、法的問題の多くが未解決だとして否定的な見方を示した。

男性同士のカップルに対する卵子提供の解禁に関しては、それよりもさらにハードルが高い。今回は法案通過を優先させるため、議論の対象から外れた。


人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

ツークの街並み

おすすめの記事

スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ

このコンテンツが公開されたのは、 世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。

もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
鏡を見るバレエダンサー

おすすめの記事

ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。

もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
自転車で遊ぶ子ども

おすすめの記事

スイス政府、国際養子縁組を禁止へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。

もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
生殖治療の画像

おすすめの記事

スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。

もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
研究施設で働くマスク姿の人

おすすめの記事

スイスに感染症情報解析センター発足

このコンテンツが公開されたのは、 感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。

もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
茶色い除湿器

おすすめの記事

ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。

もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む
ベルジエ報告

おすすめの記事

「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱

このコンテンツが公開されたのは、 スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。

もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部