スイスの視点を10言語で

ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発

ビクトリノックスのアーミーナイフ製造現場
KEYSTONE/© KEYSTONE / GAETAN BALLY

スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。

エルズナーCEOは6日付けの大衆紙Blick(デジタル版外部リンク)のインタビューで、「刃があるナイフは凶器のようなイメージを持たれる市場もある」と説明した。英国や一部のアジア諸国では、仕事やアウトドアで必要な人のみにナイフの携帯が認められている。

「合法か違法か 知られざるスイス製アーミーナイフの危険性」を読む

都市部でも、ポケットナイフの携帯は厳しく制限されている。そのため、例えばサイクリストが使える多機能ツールなどの製造を考えているという。

刃が付いたポケットナイフの携帯は、しばしば危険物の携行とみなされてきた。エルズナー氏によると、2001年9月11日に発生した米国同時多発テロ事件後、ポケットナイフの売り上げは一晩で30%以上も激減した。「9.11で、一つのビジネス分野に依存してはいけないということを痛感した」

ビクトリノックスは今も刃のない(ブレードレス)モデルを販売している。エルズナー氏はswissinfo.chの追加取材に、「今後は、刃を必要としないアクティビティに特化した携帯用ツールをラインナップに加えたいと考えている。またこれらのシリーズを世界中に提供したい」と答えた。

おすすめの記事
ディッコン先生

おすすめの記事

スイスアーミーナイフの正しい使い方

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのお土産の代名詞、スイスアーミーナイフ。この世界的に知られたナイフについて、あなたはどれだけ知っていますか?スイスアーミーナイフの本当の使い方、教えます。

もっと読む スイスアーミーナイフの正しい使い方

ビクトリノックスはシュヴィーツ州イバッハに本社を置く。スイスで製造されるポケットナイフ、キッチンナイフ、プロ用ナイフ、時計の80%を輸出し、20%を国内販売している。

エルズナー氏は、フラン高を補うため、今後は自動化と合理化を進めていくことも課題の一つだと話した。

ビクトリノックスはポケットナイフの価格を9%引き上げた。同市場はもう一つの主力製品であるプロ用ナイフに比べて競争が少ないため、こうした値上げが可能だという。

一方、プロ用ナイフは既に最大の競合他社よりも25%高い価格設定になっており、ドイツや米国のメーカーに一刻も早く追い付く必要があると語った。

※SWI swissinfo.chでは配信した記事を定期的にメールでお届けするニュースレターを発行しています。政治・経済・文化などの分野別や、「今週のトップ記事」のまとめなど、ご関心に応じてご購読いただけます。登録(無料)はこちらから。 

英語からの翻訳:大野瑠衣子追加取材:ムートゥ朋子

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

マイクに向かって演説をする女性

おすすめの記事

トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」

このコンテンツが公開されたのは、 ドナルド・トランプ前大統領が13日に銃撃された事件を受け、スイスのヴィオラ・アムヘルト大統領は「政治的な暴力は容認できない」と訴え、一日も早い回復を祈った。

もっと読む トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」
洪水の被害を受けた地域

おすすめの記事

ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部を中心に発生した大規模な洪水の影響を受け、ツェルマット~ディセンティス間を結ぶマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)は、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休するとの見通しを明らかにした。

もっと読む ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で
スイスは対ロシア制裁リストを拡大した

おすすめの記事

スイスが対ロシア制裁リストを拡大

このコンテンツが公開されたのは、 スイスは対ロシア制裁リストを拡大した。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受け、欧州連合(EU)が決定した変更を採用した。

もっと読む スイスが対ロシア制裁リストを拡大
人工知能(AI)による雇用喪失への懸念はスイスが最も低かった

おすすめの記事

AIによる失業懸念、スイスは最低

このコンテンツが公開されたのは、 人工知能(AI)は日々の仕事に影響を与えている。スイスでは、多くの人たちが仕事を含めAIを使っているが、この新しいテクノロジーのせいで仕事を失うと心配している人は比較的少ないことが最新の調査で分かった。

もっと読む AIによる失業懸念、スイスは最低
核兵器禁止を訴える団体

おすすめの記事

核兵器禁止条約への加盟求めスイスで署名集め開始

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの市民団体「核兵器禁止を求める同盟」は、国連核兵器禁止条約への加盟を求めるイニシアチブ(国民発議)を立ち上げた。必要な署名が集まれば国民投票が実施される。

もっと読む 核兵器禁止条約への加盟求めスイスで署名集め開始
スイスの伝統衣装を着た女性

おすすめの記事

スイス民族衣装祭りに観光客10万人

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・チューリヒで6月28~29日、連邦民族衣装祭りが14年ぶりに開催され、延べ約10万人の観客が訪れた。

もっと読む スイス民族衣装祭りに観光客10万人
UBSとクレディ・スイスのロゴが入った窓ガラス

おすすめの記事

クレディ・スイスのスイス法人が消失

このコンテンツが公開されたのは、 スイス二大銀行だったUBSとクレディ・スイスの現地法人の合併が1日、完了した。今後スイス国内でも「クレディ・スイス」の看板撤去が進むことになる。

もっと読む クレディ・スイスのスイス法人が消失
マルティン・シュレーゲル氏

おすすめの記事

連邦内閣、マルティン・シュレーゲル氏をスイス中銀新総裁に任命

このコンテンツが公開されたのは、 連邦内閣はスイス国立銀行(SNB、中銀)の新総裁に予想通りマルティン・シュレーゲル副総裁を任命した。ペトラ・チュディン氏が新たな理事会メンバーとなる。

もっと読む 連邦内閣、マルティン・シュレーゲル氏をスイス中銀新総裁に任命
職場の犬

おすすめの記事

職場のワンコ、従業員の満足度を向上 スイス調査

このコンテンツが公開されたのは、 犬は職場の雰囲気を良くし、飼い主だけでなく他の従業員にとっても良い影響を与える――スイスの労働者を対象に実施された調査は、職場に犬がいることの効用を強調する。

もっと読む 職場のワンコ、従業員の満足度を向上 スイス調査

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部