ICRCが31日、イラク人戦争捕虜の訪問を始める
赤十字国際委員会(ICRC、本部:ジュネーブ)の代表団が南イラクにある米英軍の戦争捕虜施設を訪れ待遇などの調査に入った。
イラクに囚われている、米英人の捕虜についてICRC、中東担当スタエリン氏は現在、「イラク政府と交渉中であり、もうすぐ訪問できるはず」と会見で述べた。
捕虜訪問
イラクに送られた15人の専門チームは31日から、初めてウンムカスル近郊の収容施設を訪問し、約3000人の捕虜の登録や拘留者の聞き取り調査に入った。ICRCでは、1949年のジュネーブ第三条約が定めた「捕虜の人道的な取り扱い」をもとに紛争当事者に紛争勃発直後から訪問できるように働きかけていた。ICRCの任務の一つに捕虜の保護活動があり、拘留状況に改善が必要な場合は、当局に申し入れをする。
イラクにいる米英人捕虜について
ICRCは現在もイラク政府と交渉中であり、イラク側から「アクセスできるとの意思表明があり、イラクの大臣(アジズ副首相)もジュネーブ条約を遵守すると表明した」とスタエリン氏は述べ、「日付は決まっていないものの、訪問が近いうち実現することを強く願っている」と話した。
ジュネーブ条約遵守の呼びかけ
イラク紛争が勃発以来、ICRCはイラク国営テレビや米国のテレビなどが捕虜の映像を放映することは捕虜の尊厳を冒す行為であり、戦争捕虜(POW)の取り扱いを定めたジュネーブ条約第13条に違反すると訴えていた。同条項には「捕虜を侮辱や公衆の好奇心から保護せねばならない」と規定している。
イラクにおける活動
現在、ICRCは14人の国際スタッフと数百人の現地スタッフを雇い、バグダッド、バスラとイラク北部で救援物資配達や医療活動、水の補給などの援助活動を行っている。イラク南部の都市、バスラでは水道の専門家を派遣し、戦争で供給が止まっていた浄水施設を修理した。この結果、水の供給を通常の使用量50%まで復旧することができたと伝えてきた。
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