スイス、東エルサレムの調停事務局を移転
スイス連邦外務省は10日、東エルサレムのパレスチナ自治区にあるスイス調停事務局をラムラに移転すると発表した。イスラエル政府は以前から同事務局の移転を要請していたが、外務省は移転の決定はイスラエルの圧力に屈したせいではないと否定した。
外務省の発表によると、調停事務局の移転と共にスイス外交の代表団らはラムラの新事務局に移る。一方、東エルサレムの現事務局はスイス開発協力機構に引き渡され、人道と援助活動専門の事務局となる。
同事務局に関しては3月ジョセフ・ダイス外相がイスラエルを訪問しアリエル・シャロン首相と会談した際、シャロン首相からスイスの調停事務局がパレスチナ人居住区にあるのはオスロ平和合意に反するとし移転の要請があった。スイス調停事務局移転の決定を受け、パレスチナ自治政府のハナン・アシュラヴィ前教育相は遺憾の意を表明し、またイスラム原理主義武装集団ハマスはスイス当局はイスラエルの圧力に屈したと批判した。一方、スイス外務省は、調停事務局の移転決定はラムラには各国の公館が集中しておりパレスチナおよび諸外国とコンタクトが取りやすくなるためで、イスラエルの圧力は関係ないとしている。
スイス調停事務局は1994年ジェリコに設立されたが、アニック・トンティ前所長のもとで徐々に機能を東エルサレムに移したため、スイスは東エルサレムに事務局を持つ唯一の国となった。が、今年2月イスラエル首相選でシャロン現首相が選出された際、トンティ前所長がドイツの通信社にタカ派シャロン氏の首相就任は中東和平への深刻な打撃になると発言したことから、イスラエル政府はスイス調停事務局の存在に対する態度を硬化させ閉鎖を要請し始めた。トンティ前所長はその後間もなく帰国したが、外務省は更迭ではなく任期切れだと説明した。
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