ブロッハー司法相が「陰謀説」に関係か
国民議会が構成する運営委員会は9月5日、クリストフ・ブロッハー司法相が検事総長に当たるヴァンレンティン・ロシャッハー前司法長官を辞任に追い込んだのは越権行為だったと告発した。
これを受けて、連邦政府は独立した法律顧問を任命し、同件の客観的な調査を行うことを決めた。ブロッハー司法相はこれに対して同日、記者会見を行い「耐え難い侮辱」と全面否定した。
国民議会の運営委員会の報告書は101ページに及ぶ。報告書では、ブロッハー司法相がロシャッハー司法長官(当時)の処分を7人の閣僚で決めるべきところを単独で処分した。これが法の独立を侵害するものだったと非難された。一方、2000年から司法長官を務めていたロハッシャー氏はブロッハー司法相からの圧力や解任するとの脅しから辞任に追い込まれたと書いている。
連邦政府も非難
同報告書は連邦政府 ( 7人の閣僚 ) に対して、ブロッハー司法相とロシャッハー前司法長官との関係が悪化していることが明白だったにもかかわらず、無策だったことの責任も問うている。同時に、報告書は連邦政府に検察官とそれを構成する司法官の独立を保障する措置をとることを勧告している。また、検察官とその行政監視をする司法・警察省との情報公開に関する境界線を明白にすることも示唆している。
沸くメディア
大衆紙ブリックや地元メディアによると、同報告書にはブロッハー司法相がロシャッハー前司法長官を解雇にするための「陰謀説」も載っている。これはブロッハー司法相の旧友であるチューリヒの銀行員、オスカー・ホーレンヴェガー氏がロシャッハー前司法長官からマネーロンダリングの疑いをかけられていた。それを保護するために辞任に追い込んだと報道されている。
ブロッハー司法相はこの「陰謀説」について、「すべてはメディアがでっちあげたことで、この『陰謀説』は全く聞いたことも関わったこともない」と記者会見で主張した。また、同運営委員会の報告書が客観的に書かれていないと訴えた。
swissinfo、外電 屋山 明乃 ( ややま あけの )
- クリストフ・ブロッハー司法相と「犬猿の仲」だったヴァレンティン・ロシャッハー前司法長官は長官ポストを2006年7月に辞任させられた。
- ロシャッハー前司法長官はコロンビアの元麻薬密売人を情報提供者として使っていたとメディアから非難されていたが、2006年9月に連邦裁判所が潔白と判定。
- 2007年1月、国会の財務委員会はロシャッハー前司法長官の辞任について、ブロッハー司法省が越権行為を行ったと確認した。
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