日本赤十字社、地震と津波の被災者援助に力を入れる
「日本赤十字社は、人道援助の立場から原発事故よりは主に地震と津波の被災者の援助に力を入れている。中でも高齢者には特別に注意を払っていきたい」と国際赤十字・赤新月社連盟 ( IFRC )の代表は3月16日、本部ジュネーブでの記者会見で語った。
世界60カ所以上に代表部を置くこの人道機関だが、今回の東日本大震災では、「日本赤十字社には職員とボランティアの人たちが十分いる上、経験も豊かなのでほかの国から援助者を要請していない」という。
孤立している高齢の被災者
「日本政府が表明したと同様、日本赤十字社にとっても今回は戦後初の最悪の事態。医療と精神的ケアの援助を続けているが、被災地が広範囲にわたるため現在でもなかなか事態は進展しない」
と国際赤十字・赤新月社連盟のマティアス・シュマール氏は話した。
現在日本赤十字社は115の医療チームを現地に送っている。その各チームに精神的ケアを担当する1人の看護師が付き、計800人が石巻や仙台の赤十字病院を中心にいくつかの避難所でも医療に当たっている。なお、避難所は小さなものを含めると2500カ所あり、現在43万人が収容されているという。
「津波や地震の被災者の中でも、特に1人暮らしの老人や家族を失った高齢者などが、毛布にくるまって医療を受ける方法も分からず孤立していると聞いている。こうした人たちには体温が下がる症状もある。日本赤十字社は特にこうした人たちにターゲットを当て、治療を進めたい」
と広報担当のポール・コネリ―氏は強調した。
放射能被曝者のケア
福島の第一原発事故による放射能被曝においても、日本赤十字社職員とボランティアは、まず危険とされる半径20キロ圏から避難した人々のケアに大きな役割を果たしている。
47の各都道府県にある支部から派遣された職員は、避難して来たこうした人々の放射能量測定や衣服の洗浄などの特別訓練をケアチームに行った。ケアチームは政府の放射能量測定の専門家たちと共に移動してケアに当たる予定だ。
しかし現在の所、政府からの指示がないため待機の状態にあり、危険地域に最も近い病院から放射能の汚染状況などを監視しているという。
日本赤十字社は、放射能被曝やその対応に関しては新聞や政府の情報に頼らず、独自の情報を入手するようにし、また世界の国際赤十字・赤新月社連盟からの情報も参考にしているという。
ところで、国際赤十字・赤新月社連盟は日本の援助に特別募金を立ち上げた。
「われわれは積極的に募金を募ることを目的にはしていない。しかし日本は今まで多くの人道援助支援を行ってきたので、そのお返しにと北アフリカの国なども含め、驚くほどの募金が集まっている。これは、今すぐというより、何に必要かという計画を立てた上で、住宅やインフラの再建など長期的な復興に使っていきたい」
とコネリ―氏は話している。
今回の地震、津波また福島第一原発事故などで活躍する日本赤十字社の職員は計800人。115の医療チームに分かれ、主に津波や地震の被災者の医療に当たっている。
また精神的ケアを専門とする看護師も日本赤十字社には2400人いるが、今回各医療チームに1人付く形で、115人の看護師が活動している。
日本赤十字社は、200万人のボランティアを抱えている。今回何人のボランティアが活動しているかは不明。
なお、日本赤十字社は国際赤十字・赤新月社連盟( IFRC )の日本支部にあたる。主な活動は災害地での援助、医療活動。国際赤十字・赤新月社連盟( IFRC )は、紛争時に中立機関として犠牲者の保護などにあたる赤十字国際委員会 ( ICRC ) とは異なる。
募金は以下のリンク先の右Japan Earthquake and tsunami の所からできる。
http://www.ifrc.org/
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