欧州サッカーの総帥、真正面から立ち向かう
欧州サッカー連盟 ( UEFA ) のミシェル・プラティニ新会長が、サッカーに影響を及ぼしている重要問題にどう対処するか語った。
フランスチームのキャプテンだったプラティニ氏は、暴力やスキャンダルのサッカーへの影響、そしてサッカーの真価を取り戻す必要性について語った。さらにプラティニ氏は、スイスとオーストリアが共催するEURO2008を心待ちにしていると述べた。
1980年代のサッカー選手の中でもっとも有名な一人であるプラティニ氏は、サッカーの世界的な統治機関である国際サッカー連盟 ( FIFA ) との関係を改善する方法を考えている。FIFAのスイス人会長、ゼップ・ブラッター氏の個人的なアドバイザーでもあったプラティニ氏は、2007年1月の会議で、4年の任期でUEFAの会長に選出された。UEFAはスイス西部のニヨン ( Nyon ) に置かれている。
Swissinfo : 新しい業務に就かれ、スイスに引越しされましたが、いかがでしょう。
プラティニ : うまくいっています。落ち着きましたし、組織と中の人のことがよく分かってきました。仕事の基盤をつくっていますが、やることは非常にたくさんあります。15年ほど前からテレビの放映権が大金をもたらすようになり、それ以来サッカーは大きく変わってしまいました。
swissinfo : 一番憂慮していることは何ですか?
プラティニ : 若手のビジネスマンがサッカーを乗っ取ってしまったことです。元選手でサッカーを本当に愛するものとして、私はそういう人たちにサッカーを商品のように扱って「売る」ようなことをして欲しくないのです。そしてビジネスのせいでサッカーが腐敗し、破滅するようなことにはなって欲しくありません。
私はサッカーの真価と自律性を取り戻したいのです。少しロマンチストすぎるかもしれませんが、われわれの子供や孫のために、サッカーを守り、正しい方向へ持っていくのはまだ可能だと信じています。
swissinfo : FIFAとUEFAの架け橋になれると思いますか?
プラティニ : はい。なぜならもう一度サッカーの関係者を一堂に会して、われわれの問題の解決策を見つけることが必要だからです。内部の争いを裁判で終わらせるべきではありません。
私は特に、FIFAの傘下にあるすべての連盟、FIFA、そしてFIFAの会長のゼップ・ブラッター氏との距離を縮める努力をするつもりです。私は彼の個人的なアドバイザーだったので、彼とほとんどの意見を共有しています。
しかし、現在サッカーに影響を及ぼしている問題を解決するためには、法務当局、警察、政治家のサポートは必要ないということではありません。暴力、人種差別、ドーピング、賭けや不正に関係した疑わしい金銭取引などの問題があります。
Swissinfo : UEFAにとって次の最重要イベントの1つは、スイスとオーストリアで行われるEURO2008です。盛り上がりに欠けているようですが、その点を心配していますか?
プラティニ : 全く心配していません。1998年のワールドカップのフランス大会では、開幕戦の10日前から熱狂的になりましたから、大丈夫でしょう。
われわれはEURO2008をスイスとオーストリアの共催にしました。それは、この2カ国なら、このイベントをうまく組織して一般の人々の祝典にできると考えたからです。
swissinfo、マティアス・フロワドヴォー 笠原浩美 ( かさはら ひろみ ) 訳
51歳、フランスに生まれ育ったイタリア系フランス人。
1980年代のもっとも有名なサッカー選手の一人。
1984年の欧州選手権で優勝したフランスチームの一員。
ベスト・プレイヤーで得点王。
1987年の引退後、フランスチームのコーチを4年間務めた。
1998年にフランスで行われたワールドカップ杯の共同組織委員長に就任した。
その後FIFAの委員、フランスサッカー協会の副会長を務めた。
UEFAの会長だったスウェーデンのレナート・ヨハンソンを抑え、2007年1月に4年の任期で新会長に選ばれた。
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