嘘をつく写真 前 次 「誰もが望む写真」を偽造して堂々と1面に載せたイギリスの大衆紙「ザ・ミラー ( The Mirror ) 」。右側は1997年夏に撮影されたドディ・アルファイド氏とダイアナ妃のオリジナル写真。 ( 写真:ミヒャエル・イェンシュ、アクセル・トュンカー、ドイツ歴史博物館/SIPAプレス、パリ ) ベルンのコミュニケーション美術館で開かれている展示会「嘘をつく写真」はさまざまな偽造写真を紹介することで、人々の感覚を研ぎ澄まさせ、写真を批判的に見ることを学んでもらおうとしている。開催期間は2008年7月6日まで。 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの数日後、インターネットに「ワールドトレードセンターの屋上で観光客が撮影した最後の写真」が現れた。 写真はネットのカルト的存在となったが、のちにこの「ツーリスト」は、ブダペストのペーター・グツリさんと判明。これは友達にジョークとして見せるために作ったモンタージュ写真だった。(写真はインターネットより) 1997年11月17日、エジプトのルクソールで58人の観光客がテロの犠牲となった。うち36人はスイス人、日本人も10人が死亡。スイスの大衆紙「ブリック ( Blick ) 」とスイス国営テレビ局は、オリジナル写真の水を血の色に染め変えて公開した。 ( 写真:ミヒャエル・イェンシュ、アクセル・トュンカー、ドイツ歴史博物館/Keystone ) 2003年のイラク戦争で、アメリカの兵士に取り囲まれたイラク兵士。 カットの仕方1つで伝達の内容が大幅に変わることがよくわかる1例。 ( 写真:AP Photo/イノウエイツオ/モンタージュ:ウルズラ・ダーメン/デア・ターゲスシュピーゲル ) 2006年8月5日、イスラエルの戦闘機がベイルートを爆撃した直後。カメラマンのアドナン・ハジが撮影した写真はロイター通信社を通じて世界中へ配信された。 その後、イギリスのオンライン・ジャーナリストが、左上の煙が同じ模様を不自然に繰り返していることに気がついた。こうしてハジ・カメラマンが写真を加工していたことが判明。ロイターは謝罪をし、同カメラマンの写真をデータバンクからすべて消去した上、彼を解雇した。 ( Keystone ) 2005年3月19日、「ローザンヌHC」対「フリブール・ゴテロン」のアイスホッケー戦で、ローザンヌのエリック・ランドリー選手がファウルを受け、鼻と頬骨を骨折して脳震盪を起こした。その後、ローザンヌHCは訴訟を起こした。 同クラブの幹部はマスコミに対し、負傷の重さを写真で提示した ( 左側 ) 。しかし、フォトエージェンシー「キーストーン ( Keystone ) 」の写真と比較すると、ランドリー選手の傷の程度はかなり異なる。ローザンヌHCは証拠写真を偽造していたのだった。 ベルン州には「デア・ブント ( Der Bund ) 」と「ベルナー・ツァイトゥング ( Berner Zeitung ) 」の2つの日刊新聞がある。地元サッカークラブの「BSCヤングボーイズ」は1978/79年のシーズン中、「ベルナー・ツァイトゥングBZ」のスポンサーロゴが入ったユニフォームを着用していた。 ところが、ライバル社のデア・ブントはこの広告を消し取ってしまった。ヤングボーイズのアルフレッド・フスナー選手はスポンサーロゴ入りのユニフォームで「FCバーゼル」を相手に2点目を入れた ( 左 ) が、デア・ブントの写真ではそのロゴが消えている ( 右 ) 。 ( 写真は展示会のマガジンから ) モスクワのスエルドロフ広場で、カメネフ、トロツキー ( 右 ) とともに撮影されたレーニンのオリジナル写真で作ったポストカード。この2人はのちに写真から消し去られた。 ( モスクワ国立歴史博物館 ) 2007年4月20日にサント・マリー・ド・ラ・メールで撮影された、当時のフランス大統領候補のニコラ・サルコジ氏。 大勢のマスコミ関係者の視線が不自然。 ( Keystone ) アーティストのマティアス・ヴェーナーは、歴史的な写真に自分を加えて創作。 ( 写真:マティアス・ヴェーナー/ドイツ国立歴史博物館 ) モナコ王国のステファニー王女は世界の大衆紙の寵児。表紙をいろいろな赤ちゃんと飾っている。中には、出産前に撮ったものも…。 ( 写真はシュピーゲル出版社の厚意による ) 画像 1 画像 2 画像 3 画像 4 画像 5 画像 6 画像 7 画像 8 画像 9 画像 10 画像 11 写真の偽造をテーマにした展示会 このコンテンツが公開されたのは、 2007/11/13 09:25 swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。 他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。
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