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ウクライナ平和サミットの功績 和平は見えずともスイスは望みを達成

国旗を背に立つスーツ姿の男性と女性
14日、サミット会場に到着したスイスのヴィオラ・アムヘルト大統領(左から6番目)とイグナツィオ・カシス外相(左から2番目) Cc 3.0 By-Nc-Sa

スイス・ビュルゲンシュトックで開かれた平和サミットをどう評価するか。和平に関して言えば、その功績は非常に乏しい。それでもスイスとウクライナが勝利を収めた理由とは?

ロシア抜きの和平交渉は可能なのかーー。スイスのビュルゲンシュトックで開催された「ウクライナの和平に向けたハイレベル会合(ウクライナ平和サミット)」を前に、侵略者であるロシアとその最も重要な同盟国・中国の不在が最大の弱点として指摘されていた。

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現在、各国の首脳・高官はスイスを後にし、サミットの写真は世界中を駆け巡った。共同声明には、参加した100の代表団のうち84の代表団が署名した。 世界中のメディアが注目したのは「ロシア抜きのこの和平会議は成功なのか、失敗なのか」という疑問だった。しかし、それは問いとしては間違っている。正しくは「誰にとって」だ。

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サミットでスイスが得た利益は?

サミットのメディアセンターには40カ国から500人のメディア関係者が集まった。最終日の16日午後には「小さな前進だ」という雰囲気に包まれた。スイス連邦政府は少なくとも、この肯定的な評価に胸をなでおろした。ここ数年、スイスの中立性は単なるご都合主義との非難にさらされてきたからだ。

ウクライナ発案のサミットの調整役を引き受けたのは、少なくとも中立で信頼できる仲介者としてのスイスの立ち位置を再確立することが目的の1つだった。そして、多くの参加者の意見では、それは成功した。

サミットを取材した藤原学思・朝日新聞ロンドン支局長は「中立とは、加害者と被害者の間に等しく距離を置くことではない。それはほとんどの人が知っている」と指摘する。日本で「中立」と聞くと、大半の人がスイスを思い浮かべ、あらゆる非難や批判にもかかわらず、それは変わっていないという。将来的には和平プロセスにロシアも関与しなければならないとスイスが強調してきた点に触れ「スイス政府は中立であろうとしてきたと言える」と評価した。

スイスのサミット外交によって、これまでの批判への反論材料もできた。スイスはウクライナに武器を提供しておらず、資金援助も比較的控えめだ。しかし外交支援は続いている。2022年にルガーノで開催されたウクライナ復興会議は3回目が開催された。ビュルゲンシュトックでの平和サミットは技術レベルの定期協議の継続版だ。10月には、スイス・ローザンヌでウクライナ地雷対策会議が開催される。地雷に関する人道支援は、スイスが公式に優先事項に定めている。

国内ではサミット開催に向け、特に右派陣営から批判が上がった。国民党(SVP/UDC)のフランツ・グリューター国民議会(下院)議員は、ロシアが招待されていなかったこと、またインド、南アフリカ、ブラジルなどの主要国が共同声明を支持しなかったことに触れ、サミットは失敗だったと述べた。「その結果、スイスは中立的な仲介者としての役割を果たせなかった」

中道、左派政党は異なる見解だ。社会民主党(SP/PS)のファビアン・モリナ下院議員は、「ほんの半年前、わが国はウクライナに対してあまりにも何もしていないと非難された。このような声は、今はもう聞こえない。世界は、スイスが平和のためにさまざまな主体を結びつける立場にあることを認めている。それによって私たちの国へのプレッシャーもまた軽くなる」と総括する。

ウクライナはどのような恩恵を受けたか?

ウクライナにとって、サミットは成功だった。同国は国際的に注目され、支援も約束された。これは世界中の数多くのメディアが出した結論だ。

トルコの放送局「TRTワールド」のハサン・アブドゥラ特派員も同意見だ。はっきりしているのは「このような複雑な対立は1回きりの会談で解決できるものではない」ことだと指摘する。当然、さらなる手立てが求められる。これに対してはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が閉幕記者会見で、技術レベル、閣僚レベルでのフォローアップ会議が開催される予定であり、それに関心を示している者もいると語った。

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スイスの平和サミット閉幕 総意得られずも「ウクライナに真の平和は近づく」

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで開催されたウクライナ平和サミットでは、参加した約100カ国・国際機関のうち、84カ国が共同声明に署名した。しかし、スイスのヴィオラ・アムヘルト大統領は、ロシアがいつ、どのように関与すべきかについての合意を得ることはできなかったと認めた。

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平和についてはどうなのか?

スイスのヴィオラ・アムヘルト連邦大統領がサミットの開催を発表した際、同氏は「和平会議」と表現し、これはコミュニケーション上の誤りであったことが判明した。当初から、会議で和平合意には至らないことは明らかだった。これがサミット批判を勢いづけた。

サミットはその後、「和平の可能性の向けた準備」という表現に変わった。スイスのイグナツィオ・カシス外相は、特に中国・ブラジル発案の和平案など、さまざまなアプローチが後にまとまることは十分に考えられると述べた。

しかし、平和サミット以降も紛争当事者間のコンセンサスが得られるまでには当分かかりそうだ。ここには根本的な問題がある。和平はしばしば交渉のテーブルで成立すると言われる。しかし、交渉のテーブルに着くまでの道のりが長い。交渉は戦況が大きくかかわり、まさにそこで交渉のやり方が決まる。戦争開始から2年半が経過し、両国は軍事的な膠着状態に陥り、(和平に向けた)前進は困難になっている。

しかも、戦争は必ずしも終わるとは限らない。時には現状のままどちらにも動かなくなることがある。敵対関係は終結しても、戦争状態、あるいは非平和状態が何十年も続くこともある。軍事面で今後どうなるか、ウクライナには明確な道筋は見えない。

サミットの直前、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は和平交渉に入るための要求をまとめた。それは、ウクライナ東部の割譲とウクライナの政策決定に対するロシアの介入、つまりウクライナの事実上の降伏にほかならない。ウクライナ側は常に、そのような独裁的な和平を拒否してきた。スイスの平和サミット後も、その姿勢に変わりはない。

編集:Marc Leutenegger、独語からの翻訳:宇田薫、校正:大野瑠衣子

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