スイス、学校施設でワクチン接種開始 新型コロナ
アールガウ州はスイスで初めて、高校生以上の生徒を対象とした移動式の新型コロナウイルス予防接種センターを設置した。
同州の16~19歳のワクチン接種率を高め、学校での感染拡大を食い止めるのがねらい。現在、この年齢集団の接種率は43%にとどまる。
州当局の18日付けの発表によると、新学期が始まった週の新型コロナ検査で、200人以上の生徒が陽性反応を示した。
スイスでは現在、12歳以上がワクチンの接種対象となっている。ワクチンはモデルナもしくはファイザー製。アールガウ州は来月から、学校で行う任意のワクチン接種に12~15歳の集団も含める予定だ(保護者の許可が必要)。
数字の上昇
スイスでは6月末以降、新規感染者が増加している。感染が増えたのは主にデルタ株で、ワクチンを接種していない10~29歳の若年層を中心に広がっている。
現在、スイスの人口の半分強が新型コロナウイルスのワクチンを2回接種済みだが、専門家や政府は接種ペースが停滞していることに危機感を募らせている。
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学校での対策は?
他の国と同様にスイスの学校でも、他にどのような対策をとるべきか議論が交わされている。スイスでは16日までに約3分の2の州が新学期をスタートさせた。アールガウ州は、学校で新型コロナの集団検査を定期的に実施している数少ない州の1つだ。
社会的距離を置く、手洗い、換気などの感染対策は全国で引き続き実施されるが、マスクの着用や定期コロナ検査などのその他の対策は、学校教育を管轄する州に委ねられている。より小さい自治体レベルでも、独自の感染対策を決めることができる。
パンデミック対策の一環として連邦政府が課した16歳以上の生徒のマスク着用義務は、夏休み前に解除された。しかし、いくつかの州は、秋学期の初めに短期間ではあるが、マスクの着用を継続すると決めた(ヌーシャテル州を除く)。
教師たちはすでに、学校での集団検査の継続を求めている。これは政府も推奨している。
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さらなる保護を求める声
保護者や専門家の間でも、さらなる感染対策を求める声が上がっている。例えば、保護者団体「#ProtectTheKids」は各州の教育長宛てに、学校での「CO2センサー、エアフィルター、マスク着用の義務化、統一された検疫ルールによる集団検査などの効果的な対策」を求める請願書外部リンクを作成。19日午後までに979人の署名が集まった。
ジュネーブ大学病院のウイルス学者イザベラ・エッカーレ氏は3日、自身のツイッターアカウント外部リンクで、「ワクチン接種を受けていない人(特に12歳以下の子供)を守りたいのであれば、他の分野での対策を継続する必要がある」と発言した。スイスの今後の措置については、9月上旬に閣議決定する。
連邦科学タスクフォースを率いるタンヤ・シュタッドラー氏は、センサー、フィルター、集団検査、高学年の学生を対象にしたマスク着用義務など、特定の対策を支持する意向外部リンクを示している。
同氏はスイス公共放送(SRF)とのインタビューで、「我々のアプローチは、スムーズに導入できるものすべてをすぐにでも実行することだ。それはウイルスの循環をできるだけ抑えて学校を開ける唯一の方法だからだ」と語っている。
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