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暴力児は親の責任

子どもたちの暴力が増加している。そう感じるスイス人は多い Keystone

20年前より暴力を振るう小中学生が多くなった。また、こうした暴力児には厳しい処罰が必要で、その責任は保護者にあると考える人が多いことが、複数のメディアのアンケートで分かった。

チューリヒ州では、暴力児の保護者に暴力防止コースの参加を強制する制度を検討中。校内で暴力を振るう生徒を監視するためにビデオカメラを設置した学校もある。

 子どもたちの暴力を調査したのは、ドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏の日曜新聞の発行社3社。7月11日〜14日の間に、1100人に聞いた。このうち77.1%の人が20年前より子どもたちによる暴力が激しくなったと感じると答えた。

 子どもたちの暴力を調査したのは、ドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏の日曜新聞の発行社3社。7月11日〜14日の間に、1100人に聞いた。このうち77.1%の人が20年前より子どもたちによる暴力が激しくなったと感じると答えた。

13歳のレイプ

 2006年11月、チューリヒ市内の中学校で13歳の女子生徒が同じ学校の15〜18歳の男子生徒たちにより、校外で数回にわたってレイプされたことが発覚した。その状況は男子生徒の携帯電話のカメラで撮影され、一部はインターネットで公開されていたという。

 当初容疑者として逮捕された13人のうち、過半数がバルカン諸国、イタリア、ドミニカ共和国出身のいわゆる「移民の子どもたち」だったとの報道は、当事者全員が未成年者だったことに加え、スイス全国に大きなショックを与えた。

 この事件をきっかけにしてスイスでは、未成年者の暴力問題が、スイスに同化できずにいる移民の子どもの問題とともに大きく取り上げられるようになった。また、総選挙を前にした現在、多くの政党がこの問題を政治テーマとして取り上げている。

 たとえば、クリストフ・ブロッハー連邦司法相は6月末、バルカン諸国出身の暴力的青少年に対しては両親の責任を問い、子どもと保護者を国外に退去させるといった処置を含む厳しい刑罰を与える必要があると発言し、物議をかもした。

親の責任

 先に挙げた調査によると、子どもたちの暴力の責任は保護者にあると答えた人は76.7%、社会にあると答えた人は69.7%、学校の先生にあると答えた人は23.3%だった。

 子どもの暴力は親の責任であるという認識は、連邦や地方でも高まっている。7月8日付けのドイツ語圏の日曜新聞NZZゾンタークのインタビュー記事でチューリヒ州の教育担当相レギーネ・エップリ氏が、暴力児の保護者には暴力防止のコースを強制する制度を検討中と明かし、全国的に話題になった。

 チューリヒ州のエップリ教育担当相が提案する保護者向けのコースは、暴力児の問題にまっすぐ目を向け、こうした子どもを教育する責任は保護者にあることを認識してもらうためのものだという。インタビューで同相は「青春期になる前、子どもがなるべく小さい時期に、専門家と保護者が一緒になって原因を究明し、対策を講ずる必要がある」と語った。

 このように未成年者の暴力が問題となっているスイスだが、厳しい教育を支持する人が多いようだ。前記調査によると、68.1%の人が頬の平手打ちや頭をたたくことを認め、体罰を否定する人 ( 30.3% ) を大きく上回った。

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

連邦統計局の資料によると、未成年者の犯罪事件で有罪判決となったのは、1999年で約1万2000件、2005年は1万4000件だった。およそ8割が男で、6割がスイス人だった。なお、スイスの人口のおよそ2割が外国人で占められている。1999年以降もっとも増加した犯罪は、交通事故による犯罪、人身にかかわる犯罪、経済犯罪などだった。

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