第2次世界大戦が勃発する直前、スイス人作家で写真家のアンネマリー・シュヴァルツェンバッハは中東へと旅立った。
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アジアへの旅行計画が具体的になってきたのは、スイス東南部の村シルスにいた時だった。モルヒネ依存症だったシュヴァルツェンバッハは様々な治療を受けたが、体が弱ってしまったため、シルスの自宅で療養していた。
ジュネーブの旅行ライター、エラ・マイヤールと共に、愛車のフォードでアフガニスタンへ向かう計画を立てた。旅の開始は1939年夏。ブルガリアからトルコ、イランを経由し、山岳地帯のアフガニスタンに入った。二人はその後、英国の占領下にあったインドに足を踏み入れた。
しかし、二人の仲はシュヴァルツェンバッハの薬物問題でこじれ、1939年10月にそれぞれ別々の道を歩むことになった。マイヤールはインドに残り、戦争が終わるのを待った。一方、シュヴァルツェンバッハはフランス人考古学者のグループに加わり、イタリア領東アフリカのエリトリアへと向かった。
エリトリアのマッサワ港で船に乗り、スエズ運河を通ってエジプトに行き、そこからスイスへと戻った。1940年1月、愛車のフォードはスイス・イタリア語圏のティチーノ州アイロロを走っていた。
それから2年後の1942年11月、シュヴァルツェンバッハは自転車から転倒し、亡くなった。彼女の死から75年の時を経て、スイス文学文書館はデジタル化した写真3千点以上を公開。スイスインフォのシリーズ#swisshistorypics外部リンクでは今回、シュヴァルツェンバッハが旅した世界の多様な風景を白黒写真で振り返る。
(英語からの翻訳・鹿島田芙美)
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