スイスにある数多くの動物園が、必ずしも理想的とは言えない檻で、熊を飼育している。しかし、ヌーシャテル州ラ・ショー・ド・フォンにあるボワ・デュ・プティ・シャトー動物園外部リンクにたった1頭いる熊は、特別な配慮を受けている。
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スイス固有種の熊は1世紀以上前に絶滅した。最後の熊が射殺されたのは、1904年、グラウビュンデン州でのことだった。近年、何頭かの熊がスイスに現れたが、定住するには至らなかった。
熊はスイス人にとって特に愛着のある動物だ。スイスの首都名にもなっている。ベルン(Berne)とはスイスドイツ語の「熊(Bärn)」に由来する。スイスにある多くの動物園がクマを飼育しているが、快適な生活を保障できるほどのスペースを与えることができていないのが実情だ。それでも近年、熊の飼育法を改善した動物園は多い。例えばベルン市は、熊公園を、歴史ある「熊の堀」から、アーレ川沿いにある6千平方メートルの敷地に移した。
他方、ボワ・デュ・プティ・シャトー動物園は、将来、熊の公開を止めることにした。90年代初頭から、この動物園では2頭のヒグマが飼われていた。雌のライラが2016年、やむを得ない事情で安楽死し、雄のハイディバイ だけが残った。ハイディバイは今年32歳になる。ハイディバイの熊舎は標準的だが、理想的とは言えない。そのため、ボワ・デュ・プティ・シャトー動物園は、ハイディバイが平穏な晩年を過ごせるよう、より恵まれた環境のある動物園を探している。その間、同動物園の飼育員らは、ハイディバイが可能な限り快適な暮らしを送れるよう最善を尽くしている。飼育員は頻繁に熊舎を訪れる。栄養のある餌を用意し、自分で餌にありつけるよう口を閉じた袋に入れて置く。毎日の運動も欠かさない。
(仏語からの翻訳・江藤真理)
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