スキー勃興期のスイスと、成熟期を迎えつつある中国の対比を試みた展覧会がスイス・ベルンで開催中だ。
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1965年スイス生まれ。チューリヒで写真を学んだ後、1989年からフォトジャーナリストとして活動。1990年、スイス人カメラマンの代理店Lookat Photosを設立。世界報道写真財団(オランダ)の世界報道写真コンテストを2度受賞したほか、スイスの奨学金を多数獲得。その作品は多くの展覧会やコレクションで紹介されている。
エマニュエル・ギガー(1886~1951年)とアーノルド・クロプフェンシュタイン(1896~1961年)は、ポストカード専門店の創業者としてよく知られる。2人はスキー写真のパイオニアでもあった。整備されたゲレンデなど存在しなかった時代に2人が写したスキーヤーは、自然のままの地形を滑走する「フリーライダー」そのものだ。
ガイガー&クロプフェンシュタインのコンビは、ベルナーオーバーラント地方の雪に覆われた風景や、まだ少なかったスキーヤーの姿、ほとんど手つかずの自然にレンズを向けた。そうした写真は人々の憧れをかきたて、今も重要な観光資源となっている。
ベルンにあるスイスアルプス博物館で開催中の展覧会外部リンク「The Skiing Bug. An Investigation」では、当時を振り返ると同時に、2022年冬季北京オリンピックの開催国・中国との対比を試みている。
中国は近年、国内のスキーインフラ整備を推進している。現在はスキー観光客の数で世界8位、屋内スキー施設で1位にランクされる。
展覧会では例えば、ベルン州アデルボーデンの白黒写真と、上海のショッピングモールにある屋内スキー練習場「SNOW51」で数週間前に撮影された短い動画レポートを対比している。その中でインタビューを受けた中国人たちは、いつかコロナ禍が収束したら、アルプスへスキーに行くことを夢見ていると語った。
(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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