スイスのインディーズバンドYOKKO 音楽シーン席巻
スイスの音楽シーンをにぎわせているインディーズバンドがある。その名もYOKKO。美しいメロディーラインと力強いボーカルを武器に、結成からわずか3年で国内の主要なミュージックアワードを受賞、活動の拠点をスイス国外に広げるなど活躍している。バンド名は、実は日本からインスピレーションを得たという。
「Guete Abe Züri!(こんばんは、チューリヒ!)」。8日夜、チューリヒ市内のクラブで開かれたYOKKOのライブ。ボーカルのアディ(27歳)の一声で1曲目の演奏が始まると、詰め掛けた約400人のファンからひときわ大きな歓声が上がった。
YOKKOはボーカルのアディ、ギターのフィリップ(29歳)、ベースのマッツ(30歳)、ドラムのドメニク(32歳)の4人。それぞれチューリヒ、ベルン、アールガウ州バーデンの出身だ。大学や音楽活動を通じて知り合い、2011年にバンドを結成した。
YOKKOの音楽は、フィリップを中心に紡ぎ出す繊細なメロディーラインと、アディのハスキーで力強い歌声が持ち味だ。YOKKOが目指す音楽について、フィリップは「時に静かで、時に驚くほど激しい大西洋のような二面性を表現している」と話す。
歌詞を担当するのはアディだ。アディは「その時心の中から湧き出てくる感情を言葉にしている」と物静かに語る。当初から海外進出を狙っていたという4人。歌詞のほとんどはアディが英語で書いている。
日本人の名前「YOKO」
YOKKOというバンド名は、偶然にも日本にちなんだもの。バンドのメンバーの間で、発音が簡単で覚えやすい名前はないかと話し合っていた頃、ドメニクが「インターネットを検索していてたまたま出て来たのがYOKOという日本の名前だった」という。その音の響きが気に入り、そこにもう一つKを足してひねりを加え、YOKKOというバンド名にした。
メンバーは「聞き覚えのない名前のほうが、変な先入観を持たずに自分たちの音楽を聴いてもらえる」と口をそろえる。
結成から間もない2012年夏、YOKKOはベルンのグルテンフェスティバルやチューリヒ・オープンエアーといった国内の2大フェスティバルに出演。さらに翌年発売したオリジナルのデビューアルバム「Seven Seas」が国内の音楽チャートでトップ10入りし、2014年に音楽の祭典スイス・ミュージックアワードで優秀な若手アーティストに送られる「ベスト・タレント賞」を受賞。その後もベルギー、オランダ、フランスなどでライブを行うなど、活躍の場を広げてきた。
4人は「本当にたくさんの人が僕たちをサポートしてくれたおかげで、ここまで来ることができた」と感謝する。
フィールドは世界
昼間は通信会社や金融機関などで会社員として働き、仕事を終えた夜、ベルン駅前のスタジオに集まって活動する。
4人の目指すフィールドはこの広い世界だ。ドメニクは「まだ知らない多くの文化に触れ、たくさんの人に出会いたい。聴いてくれる人をインスパイアできるような音楽をこれからも作っていきたい」と話している。
YOKKO
スイスのインディーズバンド。2011年結成。
メンバーはボーカルのアディ(アールガウ州バーデン出身、27歳)、ギターのフィリップ(チューリヒ出身、29歳)、ベースのマッツ(ベルン出身、30歳)、ドラムのドメニク(ベルン出身、32歳)。
2012年:国内の2大音楽フェスティバル、グルテンフェスティバル外部リンクとチューリヒ・オープンエアー外部リンクに出演、高い評判を得る。
2013年8月:オリジナルデビューアルバム「Seven Seas」を発売。同アルバムは国内の音楽チャートでトップ10入りする。
2014年:スイス・ミュージックアワードの「ベストタレント賞」を受賞。
2015年:同アワードの「ベストライブアクト賞」にノミネート。
2016年:セカンドアルバム「to the fighters. to the boxers.」を発売。国内外40カ所以上でコンサートを行う。
2017年1月:ニューシングル「Heart on Fire」を発売。
今月末には関東圏で初の来日公演を行う。4人とも日本に来るのは初めてといい、マッツは「バンドの名前もそうだけれど、ずっと日本には不思議な縁を感じていた。何だか夢が叶ったよう」と喜ぶ。来日公演の日程は以下の通り。
9月28日(木) 東京 HEARTS+
9月29日(金) 千葉 3RD STAGE
9月30日(土) 千葉 THUMB UP
10月1日(日) 埼玉 HEARTS
10月3日(火) 横浜 BAYSIS
10月4日(水) 東京 MOSAIC
10月6日(金) 東京 O-NEST
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