映画撮影現場の、知られざる裏方スタッフ
カンヌやヴェネツィア等の国際映画祭で、衣装・メイクアップアーティストや、スクリプター(記録管理)などの映画特有の職業に就く人たちがスポットライトを浴びることはめったにない。ソロトゥルン映画祭では、このあまり知られていない職業の世界をのぞけるような展覧会が催されている。
映画撮影現場の裏方で、こうした職業の人たちがどのような仕事をしているのか、知る人は少ない。ましてやこの「小さな軍隊」が撮影中、俳優、衣装、ヘアスタイル、メイクアップ、傷、エキストラ、時にはセット全体の写真を鋭い目で定期的に撮っているという事実を知る人は少ない。
スクリプターが作る撮影の記録は「配線図」と呼ばれる。シーンを撮り直す際にはこれを基に、過去に撮影された場面、髪型、衣装等を再現する。バラバラの順序で撮影されても、これがあれば連続したシーンとしてつなげていくことができる。スクリプターが撮る写真は、実用目的の「証拠品」とはいえ、そこには偶然的にも独特の風情がある。
スクリプターのまなざしは親しげだ。だが同時に、撮影セットを見つめる目は、事件現場を撮影する警察官のように冷静でもある。その写真には、演技という幻想の前の緊張感とその後の解放感、そして俳優たちが見せる傷つきやすさや自信のなさが写し出されている。
映画、テレビ映画、テレビシリーズで活躍してきた、メイクアップアーティストのマルチナ・フェルバーさんはソロトゥルン映画祭で栄誉賞を受賞した。
展覧会「楽屋とセットの間で カメラマンとしての衣装係、メイクアップアーティスト、スクリプター」では、フェルバーさんと他のアーティストたちによる撮影セットの写真を見ることができる。
(写真: マルチナ・フェルバーと他のアーティスト、文: フェリックス・フォン・ムラルト)
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