牧草地とハイテクのスイス館オープン
5月1日、上海万博2010がオープンする。スイス館では花が咲き乱れる牧草地を屋上に設え、同時に優れたハイテクを披露する。
また、「より良い都市、より良い生活」をテーマにする上海万博は、進んだ環境対策実践都市を招待する「ベストシティ実践区」を創設。スイスの3都市、バーゼル、ジュネーブ、チューリヒも招待を受け、共同館で水の管理方法や技術を紹介する。
ハイジとスイスの革新的技術
「スイス館のコンセプトは一言でいえば陰陽。自然保護活動を象徴する牧草地と都市空間という対比だ」
とバーゼルの設計者アンドレアス・ブルンドラー氏は言う。
より端的に言えばスイス館は都市と自然を表現している。来館者は水の浄水技術、省エネ建築用スタンダード「ミネルギー」、公共交通網など、「より良い都会生活」を目指したスイスの優れた工業技術の50の成功例を3Dの写真で眺めた後、スキーリフトに乗り屋上の「アルプスのお花畑」的な牧草地に到着する。
ハイジの牧草地などスイスの固定的なイメージが繰り返されているという批判の声も一部で聞こえるが
「ハイジの国というイメージは決して悪いものではない。むしろスイスが美しい国と受け取られているのは良いことだ。しかしスイス館では、直ちに、ハイジだけではなくハイテクの国だと理解してもらえるようになっている。スイスの革新的技術に親しんでもらえたらと思っている」
と在中国スイス大使ブレーズ・ゴデ氏は話す。
「アンケートによると中国人はスイスに対し、ハイジやチョコレートなどの固定的なイメージを持っている。しかしこのイメージを利用して、そこから入ってもらい、やがて彼らの知らない世界へと導いていくような展示にしている」
とスイス館の館長マニュエル・サルヘリ氏は説明し、建築そのものも、ほかの伝統的かつ保守的なパビリオンに比べると、非常にハイテクでオリジナルだと胸を張る。
実際、スイス館はコンクリートの打ちっぱなしに、アルミの金属ワイヤーがすだれのように連なった金属カーテンが周囲を囲み、このカーテンには太陽電池と電球を含む赤い円形のプレートが1万1000個取り付けてある。
ビジネスチャンスも
同様にバーゼル、ジュネーブ、チューリヒの3都市共同館でも、観光的なスイスの美しいイメージから各都市の雰囲気の中に入ってもらい、その後でジュネーブでは、レマン湖の汚染との戦いの歴史を、チューリヒでは優れた浄水技術などを紹介している。
2つのスイス館では5月1日から6カ月間にわたり、コンサート、展覧会、講演、セミナーなどの催しが行われる。また、ビジネス面でも
「スイス館のVIP用の空間はすでに95%予約が入っている。三つの都市館の方もうまくいっているようだ」
とサルヘリ氏は話す。
中国に進出しているスイス企業が、この機会をビジネスチャンスとして最大限に利用することは確かだ。アルプスの雰囲気、牧草地の匂い、白ワインや牧草地へ上るリフトなどがビジネス契約を結ぶ手助けになることは間違いないようだ。
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