知ってた? ジェームズ・ボンドはハーフ・スイス人
英国最強スパイのジェームズ・ボンドは、英国人の父とスイス人の母を持つハーフ・スイス人だった。
007シリーズ40年の歴史を振り返ると、スイスとボンド・シリーズの縁の深さがわかる。シリーズ20作中、スイスでロケが行われたのは3作計7回に及ぶ。
007シリーズ最新作「ダイ・アナザー・デイ Die Another Day」が11月28日、独語圏スイスで封切られた。イアン・フレミングの原作によると、ジェームズ・ボンドの父はスコットランド人のアンドリュー・ボンド、母はヴォー州出身のスイス人モニク・デラクロワで、英瑞ハーフという設定だ。しかもボンドはジュネーブ大学で学んだということになっている。
スイスのロケ地で最も有名なのは、ベルナー・オーバーラントのシルトホーン(Schilthorn)山だろう。シリーズ6作め「女王陛下の007」(’68)で、ボンドの敵エルンスト・ブロフェルトの秘密研究所のあるアルプスの山ピッツ・グロリア(Piz Gloria)という設定になっていた。この作品は、オーストラリア人俳優ジョージ・レイゼンビーがボンド役を演じた唯一の作品だ。世界を相手に生物化学戦を挑もうとしたブロフェルトの野望が、ボンドの活躍によりピッツ・グロリア(のモデル)の大爆発で失敗に終るというラストだった。
シルトホーン鉄道のベアトリス・ドルダー氏によると、この山がロケ地に選ばれたのは全くの偶然だったという。「当時、回転展望レストランを建設中だったが、実は資金不足に陥っていた。そこへロケの話が持ち上がった。シルトホーンのロープウェーは、冬期は運休する。そこで、ロケは冬の間に終えるということで制作側と合意、ロケが終ったところで資金が入り、我々はレストランの建設を再開できた。」。シルトホーンには、シルトホーンで撮影されたシーンを上映する小さい映画館がある。「映画の中でボンドが座っていたこのレストランで、ボンド・スペシャル・メニューはいかがですか?グラスシャンパン付きジェームズ・ボンド朝食もあります。」とドルダー氏は世界のボンド・ファンを誘う。
95年作の「ゴールデンアイ」のオープニングでは、ロカルノ近郊のヴェルザスカ・ダムで、5代目ボンドのピアーズ・ブロスナンが220mのバンジージャンプを敢行した。もちろん実際にやったのはスタントマン。このスタントマン、記録破りのバンジージャンプ決行を決意するのに、2週間要したという。今なら観光客でも希望すれば体験できる。
ロケ地ばかりではない、スイスは出演者らとも縁が深い。シリーズ第1作「007は殺しの番号(ドクター・ノー)」(’62)で海からビキニで出て来る初代ボンド・ガール、ウルズラ・アンドレスはベルン出身だ。彼女が作品で身に付けたビキニは後にロンドンでオークションに出品され、10万スイスフランで落札された世界で最も高価な水着となった。さらに、72年からショーン・コネリーの後を継いで7作品でボンド役を演じたロジャー・ムーアは、ヴァリス州クラン=モンタナ在住で、アルプス山中のリゾート地クシュタート(Gstaad)に別荘も持っている。
イアン・フレミングの原作によると、ジェームズ・ボンドはスコットランド人の父とスイス人(仏語圏ヴォー州出身)の母を持つハーフで、ジュネーブ大学出身だった。これまでシリーズ3作で、シルトホーン(ベルン州)、ヴェルザスカ・ダム(ティチーノ州)、ルツェルン州Stansの工場(「ゴールドフィンガー」’64)など7カ所でロケが行われた。
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