チューリヒのハウス・コンストルクティヴ美術館で開催中の「ロジカル・エモーション 日本現代美術展」が人気を博している。日本とスイス国交樹立150周年を記念し開催された本展では、草間彌生をはじめとする有名日本人アーティスト13人による84作品を展示。日本現代美術の新たな一面を見せる。
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2014/12/19 11:00
大野 瑠衣子
2004年から日本およびスイスの映像・メディア業界で様々な職務に従事。
絵画、彫刻、デザイン、写真、工芸、漫画…。作品のジャンルはさまざまだ。キュレーターを務めたのは、東京国立近代美術館主任研究員の保坂健二朗と、ハウス・コンストルクティヴ美術館ディレクターのサビーネ・シャシュル。「ロジカル(論理)」と「エモーション(情動)」をテーマに、日本人アーティスト13人から84作品をセレクトした。
アーティストの中には、キューピーハーフや流行通信誌のアートディレクションで名高い服部一成をはじめ、LED作品が特徴的な宮島達男、陶芸家の見附正康、ネオ漫画で注目を浴びる横山裕一、水玉模様のモチーフで世界的に有名な草間彌生などが名を連ねる。
本展初公開の作品も多い。建築家・平田晃久の「Häm」、彫刻家・青木野枝の「Underwater / Zurich」、服部一成の「Wallpaper」、金氏徹平の「Ghost in the Liquid Room」「White Discharge」、杉戸洋の「untitled (ame series)」は新作だ。また、草間彌生の作品「LOVE IS CALLING」はヨーロッパ初上陸となる。
2014年10月2日から始まったこの美術展は人気を集め、11月末の時点で入場者数は既に5千人を超えた。「当美術館でここまで多くの入場者数を集めることはなかなかない。13人もの有名日本人アーティストの作品が一堂に会し、また展示作品のジャンルが非常に幅広いことが、今回の美術展が人気を呼ぶ理由の一つだろう」と、ハウス・コンストルクティヴ美術館・広報担当のフルリーナ・リビさんは話す。「ロジカル・エモーション 日本現代美術展」開催期間は2015年1月11日まで。
(ビデオ・Mélanie Moser&ハウス・コンストルクティヴ美術館、文・大野瑠衣子、swissinfo.ch)
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