スイスに帰って来た幻の鳥 再び定着なるか
アルプスで最も大きな鳥ヒゲワシは、19世紀末にスイスから姿を消した。今日生存する個体は絶滅危惧種に指定されている。

スイスでのジャーナリストとしての経験が豊富で、さまざまなテーマのビデオ、記事、ポッドキャストを制作。最近は主に政治と環境に焦点を当てている。 英国生まれのビデオジャーナリスト。ノッティンガム大学で法律を学び、ロンドンで初の大学院ラジオ・ジャーナリズム・カレッジに進学。1984年から1995年までイギリスとスイスでラジオ・ジャーナリストとして働き、ボーンマス・フィルム・スクールで映画の大学院ディプロマを取得。

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スイス、オーストリア、イタリア、フランスでは、1986年にヒゲワシを繁殖して野生復帰させる保護増殖の試みが始まった。現在では約200羽のヒゲワシがアルプス地区に生息し、個体数は安定している。スイスには繁殖をするつがいが十数組確認されている。
ヒゲワシには数々の別名があり、慣用的に馬ワシ、ヤギワシ、羊ワシなどと呼ばれてきた。これはヒゲワシがこういった家畜を襲う恐ろしい鳥だという誤解からきている。
スイス鳥類研究所は「鳥の生態に対する誤解から、危険を感じた人間が家畜保護の目的でヒゲワシの狩猟を許可した。懸賞金が出たために乱獲が進み、ヒゲワシは19世紀末にはスイスから姿を消した」と言う。
実際のところ、ヒゲワシは捕食性ではない。ヒゲワシは動物の死骸や、放牧中に死んだヤギ、アイベックス、畜牛、羊などの骨を食べる。ベルン大学保全生物学研究室主任のラファエル・アルレッタ教授は、ヒゲワシの大ファンだという。
「ヒゲワシの観察は本当に素晴らしい。ヒゲワシは好奇心がとても旺盛だ。頭上わずか5~10メートルの近さで低空飛行をすることさえある。羽根を広げると3メートルにもなる巨大な鳥が、これほど近くで飛んでいる姿を想像してほしい。スイス人なら皆、一生に一度はこういった経験をすべきだと思う。そうすればヒゲワシがどんな鳥か決して忘れることはないだろう」
ヒゲワシは一度つがいになると一生涯連れ添う。求愛の儀式は大胆で、ペアは組合いながら地上に向かって車輪のように回りながら落下し、ときに地面に叩きつけられそうになることもある。つがいは毎年1羽のヒナを育てる。
(Video: SRF/swissinfo.ch/jh)
体重:5~7キロ
翼開長:250~280センチ
食物:動物の死骸
生息地:アルプス地区
種の保全状況:危急
スイスの個体数:繁殖を行うつがい12組
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