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水道の水が一番

チューリヒ郊外にある全国一大きい貯水池からも、安全な水が各家庭に配水される Keystone

スイスでは、スーパーなどで市販されているミネラル・ウォーターより、水道水の方が環境に1000倍も負担が少ない。国連の「水の日」に寄せて発表された調査結果である。

スイス国内にある配水管の総長は5万キロメートル。せっかく立派な施設があるにもかかわらず、ミネラル・ウォーターの輸入は過去10年間で3倍に膨れ上がった。

 スイスでミネラル・ウォーターを飲む人は、水にお金をかけるばかりではなく環境にも負担をかけている。スイスには3000もの貯水池があり、各家庭に常時配水をしている。スイスの水道水は他の国とは違って「完璧」である。一方、ミネラル・ウォーターは環境に負担をかけているという調査がこのほど発表された。

環境に負担 ミネラル・ウォーター

 ガラス瓶、ペットボトルなどに詰められ何種類ものミネラル・ウォーターがスイスの商店でも売られている。ミネラル・ウォーターの消費は、国内の水の総消費量のおよそ3分の1を占める。ところが、このミネラル・ウォーター、瓶詰め、運送、冷蔵といった面で環境に大きな負担をかけている。特に輸入品は、その負担も大きいという調査「飲料水—ミネラルウォーター 環境バランスシート」が、スイスにおける配水を管理する「スイスガス・水専門協会(SVGW/SSGE)」から発表された。

 調査によると、スイスでは水道管網が大変よく発達し、水は安価で供給が安定しているばかりではなく、環境に与える悪影響も極めて少ない。ミネラル・ウォーターをEU諸国から輸入した場合、運送にかかるガソリンなどを考えると、環境に対する悪影響は水道の水の1000倍にもなるという。国内産のミネラル・ウォーターは運送距離が短いとはいえ、水道水の100倍の負担を環境にかけている。もちろん水道水を冷蔵庫で冷やしたり、炭酸を入れたりすると、水道水も環境に負担をかけることになるが、その程度は知れたものだ。

豊富な水があるスイスは幸せ

 スイスの各家庭に配水される水道水は、総長5万キロメートルの水道管を通ってくる。1日の国内総消費量は1億6000万リットル。しかも、スイスの水は質がよく、その4割は浄化する必要もない。貯水池や配水管への投資については住民投票で決められるが、年間の投資総額は6億フラン(約540億円)だ。

 一方で、ユニセフの発表によると、世界では水不足のために15秒ごとに1人の子どもが死亡し、4億の子どもたちが水不足に悩んでいる。特に水不足による不衛生が、多くの子どもたちの生命を脅かしているという。水不足で病気になり、学校へも通えない。教育レベルが低く、生活を向上する能力に欠ける。こうした悪循環が途上国にはある。

 世界の中には水が思うように飲めない人や、水不足で不衛生な生活を強いられている人たちがいることを思うと、スイスには豊富な水があることは幸運なことである。

swissinfo、外電、佐藤夕美(さとうゆうみ)

- スイスの場合、環境面からみて水道水がミネラル・ウォーターより非常に良いという。
- 水道水に炭酸を注入すると環境には負担だが、これをミネラル・ウォーターの代わりに5年間、毎日1リットルづつ消費すれば環境会計上、環境にプラスとなる。
- ミネラル・ウォーターを消費する場合は、運搬距離を考慮すべきである。
-距離が短ければ短いほど環境に与える影響も少ない。

水の環境会計
EUから輸入したミネラル・ウォーターを1リットル飲むと、3.1リットルの石油を消費することになる。
スイス産のミネラル・ウォーターを1リットル飲むと、1.5リットルの石油を消費することになる。
水道の水1リットルなら0.003デシリットルの石油の消費で間に合う。

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