このコンテンツが公開されたのは、
この2月28日、外国人犯罪者の国外追放強化イニシアチブなど、重要な四つの案件について国民投票を行う国、スイス。ところが、この直接民主制の伝統ある国で、女性参政権が認められたのは、わずか45年前の2月だった。(SRF/swissinfo.ch)
こうした民主主義の伝統に反して、実はスイスは欧州諸国の中で最後に女性参政権を認めた国の一つだ。
1868年、チューリヒ州の女性グループが初めて女性参政権を求めるイニシアチブを提出したが、多くの州がこれに反対した。
スイスの直接民主制では、憲法改正のためには国民投票を行わなければならない。かくして、男性が国民投票で女性参政権を承認してくれるのを待つしかなかった。
女性参政権に関し連邦レベルで国民投票が最初に行われた1959年、男性投票者の67%が反対票を投じた。結局、女性の参政権が連邦レベルで認められたのは、1971年2月7日。長い年月がかかった。
他方、州レベルの投票ではヴォー州とヌーシャテル州が1959年から女性参政権を認めている。そして女性の政治参加が最も遅かったのは、アッペンツェル・インナーローデン準州。なんと1990年にようやく女性参政権を認めた。
続きを読む
おすすめの記事
男女同権への長い道のり 根強い性差別が残るスイス
このコンテンツが公開されたのは、
全米で広がった草の根運動「#MeToo」はスイスでも広がり、男女同権の現状に対する女性の不満の声が次々と上がった。スイスでようやく女性の選挙権が認められた1971年と比べ、今は何が違うのか。
もっと読む 男女同権への長い道のり 根強い性差別が残るスイス
おすすめの記事
女性解放運動の草分け、マルテ・ゴステリさんの偉業
このコンテンツが公開されたのは、
今月100歳で亡くなったスイスの代表的女性参政権活動家、マルテ・ゴステリさんの生前の業績を讃える声が次々と寄せられている。スイスの女性参政権運動を率いる存在だったゴステリさんは、その苦難の歴史の記録者でもあった。(SRF/swissinfo.ch)
ゴステリさんが働く女性に向けられた不平等を意識するようになったのは、父親が早くに亡くなり、ベルン近郊にある一家の農場が母や姉たちに任されるようになってからだ。
同じく女性解放活動家だった母親の影響を受けたゴステリさんは、結婚や出産はしないと決心、経済的に自立し、女性参政権運動に身を投じた。一方で中産階級的な面もあり、街頭デモからは距離を置いていた。これに関しゴステリさんはスイス公共放送(SRF)のインタビューで、「デモではなく、具体的行動をすべき」と説明している。
スイスが欧州最後の国としてようやく女性に参政権を与えたのは1971年のこと。これほど導入が遅れたのはスイス独特の直接民主制に原因があった。憲法改正には国民投票が必要なため、スイス女性の権利もまた、投票権を持つ男性の一存に任されていたのだ。
先月スイスで劇場公開されたペトラ・フォルペ監督によるスイス女性の解放運動を扱った映画「Die göttliche Ordnung(仮訳・神の秩序)」の主人公ノラとゴステリさんの間にはいくつかの共通項がある。
(英語からの翻訳・本文/フュレマン直美 ビデオ字幕/大野瑠衣子)
もっと読む 女性解放運動の草分け、マルテ・ゴステリさんの偉業
おすすめの記事
スイス女性参政権 獲得への長い道のり
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで女性が参政権を勝ち取るまでをコミカルに描いた受賞映画「Die göttliche Ordnung(仮訳・神の秩序)」が国際女性デーに合わせてスイスで劇場公開される。
もっと読む スイス女性参政権 獲得への長い道のり
おすすめの記事
なぜ若い女性は投票しないのか?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人女性が参政権を得た1971年当時は、18歳から29歳までの女性の投票率が38%だったのに対し、今日は全体の3分の1以下の26%に落ち込んでいることが調査で報告された。その理由を探るべく、若い世代の女性に意見を聞い…
もっと読む なぜ若い女性は投票しないのか?
おすすめの記事
女性参政権
このコンテンツが公開されたのは、
( 全写真: Keystone、RDB )
もっと読む 女性参政権
おすすめの記事
参政権
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの女性が参政権を得たのは、長い運動を経た後の1971年のこと。それまで男性陣は常にこの動きを妨げていた。感情に流されることも少なくなかったこのテーマを古いポスターで振り返る。
もっと読む 参政権
おすすめの記事
ウンテルベッヒの女性たち
このコンテンツが公開されたのは、
村の通りで出会った老婦人に話を聞くと、当時、彼女自身は投票には行かなかったが、姉や妹は行ったと話してくれた。「カメラを持った記者たちがそこら中に立っていました。わたしはそのころ臨月に入っていて、騒ぎの中を行くのは負担でし…
もっと読む ウンテルベッヒの女性たち
おすすめの記事
いまだ消えない男女格差
このコンテンツが公開されたのは、
しかし、スイスの職場での男女格差はまだ大きい。女性店員が35年間働いた場合の平均収入は、男性店員のそれより35万フラン ( 約2535万円 ) 少ない。 まだまだ格差は大きい 管理職レベルでは、男女格差は顕著だ。男女格…
もっと読む いまだ消えない男女格差
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。