ジュラ州でジュラシック・パーク スイス西部
1億5000万年ほど前の恐竜の足跡が8月初旬、再びスイス西部ジュラ州で発見された。
「宝物」の発掘は、2年前にこの地域の高速道路の建設現場で初めて見つかったのがきっかけ。最初の足跡を発見して以来、現在1,500個近くの足跡化石が見つかっている。広範囲に渡った恐竜の歩行跡は世界でも珍しいという。
政府当局は、この地域で発見された恐竜の足跡化石を目玉に、「ジュラシック・パーク」構想を検討している。具体的には、足跡化石郡の横に恐竜の博物館を建てる計画だが、果たして新たな町おこしが成功するかどうか未知数だ。
恐竜の歩行跡
地質学の時代区分によると、ジュラ紀と呼ばれる時代は約2億年前から1億年前までを指し、恐竜の全盛時代として特徴づけられている。
この時代の名称はフランス、ドイツ、スイス3国の国境地域であるジュラ山脈にちなんで名づけられたもので、この地域に分布する地層そのものがジュラ紀の研究で最も良い条件を備えていたためとされる。
恐竜の足跡化石が多く発見されている場所は、ジュラ州の小さな町クールトゥドュー。これまでの調査で、4足歩行の草食恐竜である竜脚類と、後足で歩行する肉食の獣脚類が確認されている。
現在のところ、この地域で発見された足跡化石は1,500個ほどにのぼる。ジュラ州古生物課のヴォルフガング・フク局長は「今後5、6年間で、さらに4,000〜5,000個は発見できるはず」と期待している。
ジュラ州がこうした化石の発掘に沸く中、自治体は恐竜を活用して観光客を呼び込もうと、恐竜のテーマパークを建てる構想をまとめているところだ。「こうした化石をきちんと保存して次世代の人たちにも鑑賞してもらえれば」とフク局長は話す。
フク局長自身、化石の発掘に我を忘れる。「恐竜の足跡を探すのはワクワクするよ。1億5000万年の間、誰の目にも触れられなかったのを自分が最初に発見するんだから」と話している。
スイス国際放送 安達聡子(あだちさとこ)意訳
化石の種類:
恐竜の骨や貝殻が岩の中に残っているもの(遺体化石)や、恐竜の足跡など古生物が生きていた痕跡を示すもの(生痕化石)など、化石には様々な種類がある。
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