スイス、顔認証システムを開発 実用化へ
スイスの大学生が、顔の画像を用いて本人かどうかを識別する顔認証システムを開発した。
顔認証システムはバイオメトリクス(生体認証)技術の一種。実用化されれば、ドアホンや銀行のATM端末機などに組み込んで利用できるという。
米同時テロをきっかけに、生体認証技術を出入国管理に使う国も増えている。テロや犯罪防止への高い関心を背景に、こうした新技術が身近な場面で使われる機会は今後、さらに増えそうだ。
顔認証システム
顔認証システム「Face Off(フェイスオフ)」を開発したのは、北スイスのビール/ビエンヌ(Biel/Bienne)にある情報工科大学(HIT)の学生だったクリス・ビュルギさんとアンディ・ヨースさん。
同システムは、カメラが捕らえた画面の顔から、顔の輪郭や目、鼻、口、あごなどパーツの距離間隔などの特徴を割り出し、あらかじめ登録してあるデータベースの顔面映像と比較して、本人かどうかを識別する仕組みだ。
「卒業に必要な必須項目だったんだけど、システムの構築にかかった時間はたったの8週間だったよ」と誇らしげに話すのは開発者のヨースさん。データベースに登録されていない人が誤認される可能性は1%という。
だが、精度の面ではまだ問題を抱える。
同システムの精度は撮影時の照明に影響を受けやすいだけでなく、「顔立ちの似た双子や毛髪の有無で本人の見分けが難しくなる」と相棒のビュルギさんは話す。
顔認証システム「フェイスオフ」の生みの親、ビュルギさんとヨースさんは現在大学を卒業したが、同システムの技術が埋もれるのはもったいないと、情報工科大学の研究グループは実用化に向け、技術の改良を進めている。
swissinfo ジュリー・ハント 安達聡子(あだちさとこ)意訳
生体認証:
身体の一部を利用して本人を識別すること。バイオメトリクスとも言う。
指紋や声紋、瞳の虹彩などをもとにした技術開発が進む。
昨年12月からチューリヒ空港では、搭乗・出国手続きに指紋や顔の特徴など本人確認をする生体認証システムを導入している。
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