子どもに鞭は逆効果
連邦基金の研究結果によると、スイスの子どもたちがのちに幸福な人生を送ることができるかどうかの決め手になるのは、両親の国籍と育て方であることがわかった。また、特にドイツ語圏スイスでは社会的な背景によって学校の成績に大きな開きがあり、児童の機会均等の促進が求められるということだ。
「スイスの幼年と青少年期」と題されたこの調査では、3000人の児童や青少年を対象に長期にわたるアンケートが実施された。
飴と鞭?
年齢別では、義務教育を始める前の6歳の児童、思春期の15歳の少年少女、そしてこれから社会に旅立つ21歳の青年たちだ。6歳の児童への質問は自宅で行われ、教員1人と両親が付き添った。そのほかの青少年には電話で質問している。
スイスに住む子どもの数は約1400万人。うち8割が両親と一緒に住んでいる。厳しくしつけられている6歳の子どもは全体の44%。15歳でも2割を占める。
連邦基金 ( SNF ) の研究によると、スイスに住む児童や青少年は他の21の工業諸国と比較すると恵まれている方だ。しかし、厳しいしつけのほかにも、性差別、勉学、貧困、外国からの移入などが子どもたちをさいなんでいる。
また、親がむとんじゃくな育て方や勉強ばかりを押しつけるような育て方をすると、青少年は自分の人生を無意味だと感じるようになることが多いという。それに対して、子どもを幸せな人生に導くのは、子どもを支え、あまり圧力をかけず、あまり罰せず、両親と子どもの心のつながりのある家庭だ。
不利な移民と貧困層
一方、学校での成績が振るわないのは貧困層や移民の子どもたちだ。そして、それは社会生活を始めるようになってからも尾を引く。つまり、低収入の職にしか就けず、親から子へと貧困が「相続される」のだ。
これを打開するには「教育機関に早めに入学させることが大切」だと報告書は結論づけている。そうすれば、スイスの学校文化に早く慣れ、移民の融合が促進される。さらに、家族以外で子どもの勉強を見てくれる組織も拡大する必要があるということだ。
swissinfo、外電
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