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スイス、食の安全

消費者団体も認める、スイスの食品安全度は高い Keystone

中国産の冷凍ギョーザの中毒事件が日本では大きく取り上げられている。食生活、食糧生産システムの違いもあり、スイスでは今のところこうした問題は発生していない。

スイスの食の安全はどうなっているのか。行政の取り組み、消費者団体の声を聞いてみた。

 連邦政府の消費者問い合わせ課 ( BFK/BFC ) のサイトには、商品回収・安全情報が掲載され、消費者の注意を促している。これは食品だけに限らない。例えば、マフラーに有害物質ベンジジン ( Benzidine ) が許容量を越えて含有していたため、販売していた洋品店が回収するという情報も載っている。

商品管理を徹底

 2月5日には、スイス大手スーパー「ミグロ ( Migros ) 」がアンチョビーとケーバーの缶詰を回収すると掲載された。腐敗がその理由という。掲載は、BFK/BFCの独自の調査による情報を元に、該当者の承認を得てされる。商品回収を企業が報告する義務は無い。

 アンチョビーの腐敗について、ミグロの広報担当者モニカ・ヴァイベル氏は、商品を買った顧客によるクレームを受け、試験場で検査した結果に対応したものだと語った。ミグロには生鮮食品専門の試験場があり、肉、魚、チーズなど生鮮食品は「頻繁に」検査を行っているという。そのほかの食品も年に1、2回無作為抽出で検査する。検査しないのはコピー用紙くらいだという。
 食品中毒などの事件が起こりにくいのは、ミグロの場合
「まず、徹底した教育により店内での商品管理を充実していることが挙げられる。また、生産者の管理基準が高いことだ」
 とヴァイベル氏は言う。

 賞味期限が切れる日には、その商品を安くして消費者に提供している。実際より3日間前に期限が設定されているため、その日のうちに食べるには問題がないとみているからだ。
「食べられるか食べられないかは、消費者の判断。安いものを買えるチャンスを提供している」
 そのほか、賞味期限が近づいた食品については
「生活保護者向けの食堂などに破格で販売し、期限切れの商品を捨てる量を少なくしている」
という。

消費者団体も評価

 消費者保護基金 ( SKS ) の政治部門担当アンドレアス・チュッペ氏も、批判的な消費者の立場にありながら、
「管理が良く、スイスの食品会社も安全で質の高い食品を生産している」
 と食品の質は他国に比べて非常に高いと評価する。
「動物に配慮した飼育法の徹底、有機農法の食品の人気、遺伝子加工技術の厳しい規制などもその背景にある。スイスで大きな事件に拡大した例は、個人的には記憶に無い」

 唯一大きな事件だったのは、狂牛病 ( BSI ) 。スイスでも発生した際の対応が遅かったことは非難に値するとチュッペ氏。そのほか、連邦政府の検査担当課が、保険局と家畜局など複数あるが、一本化すべきだと指摘した。

 これに対し、連邦保険局 ( BAG/OFSP ) の食糧安全課ミヒャエル・ベール氏は
「複数の課が担当であることで、職の安全管理が劣るということはない。課同士の協力もうまく行っている」
 と反論する。食糧安全課は、検査基準や検査対象を決める。実際検査するのは各州の試験場だ。これまでスイスでは、食品安全の大きなスキャンダルは無かったという。
「中国からのおもちゃも検査したが、マスコミが書くような大きな問題ではなかった。ヨーロッパ諸国との連携もあり、その情報網はしっかりしている。時と場合に応じて、検査対象を変えていく」
 
swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

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