スイスと日本 経済連携協定の交渉を開始
ミシュリン・カルミ・レ大統領兼外務大臣は1月19日、安倍晋三総理と電話で会談し、自由貿易を中心にした包括的な協定、経済連携協定 ( EPA ) を結ぶための交渉を公式に開始すると発表した。
経済省経済管轄局 ( seco ) のダニエル・ゲルバー局長によると、 事務レベルでの交渉グループが作られ、1年以内に経済連携協定の成立を目指すことになるという。
カルミ・レ大統領兼外務大臣と安倍総理は今回の電話会談で、交渉入りを正式に合意した。経済連携協定のほか、国際連合における協力、資金洗浄の犯罪取締りのための協力の強化なども進められる。
包括的な協定
過去1年半にわたり両国は、協定の可能性に向け研究会を持ち定期的に会合を開いていた。内容は工業製品や農産物の関税率引き下げだけではなく、物品の往来、サービス業、投資、滞在ビザ、知的財産保護にも及ぶもようだ。工業製品については関税の全面撤廃、農産品については、一部関税が維持されるもようだ。
スイスはEFTA加盟国だが「日本との交渉は、EFTAを通さずスイス独自で行う」とゲルバー局長。1年以内に交渉を終了し調印に至ればと期待を掛けている。
スイス側は積極的
スイス側は交渉に非常に乗り気で、ゲルバー局長は1月13日付けのドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーのインタビューで「日本は欧州共同体 ( EU )、アメリカに次いで3番目に重要な輸出相手国だ。化学薬品、医薬品、時計、機械分野などで特に重要だ。知的財産の保護がしっかりしており、国際ビジネスマンの意識がスイス人と同じレベルにある」と語っている。
大和総合研究所の浅野信久部長は、スイスのバイオベンチャーを評価するアナリストの1人だが、自由貿易交渉の開始に向け「医薬品、人材の交流が盛んになること。医療面での交流も高まればよいのでは」と語った。また。日本のベンチャー子会社が、スイスにもできればと言う。スイスはバイオ産業のベンチャー企業を積極的に受け入れる土壌がある。
swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )
スイスと日本の貿易額
2005年の統計
スイスから日本への物品の輸出額 約59億フラン ( 約5540億円 )
日本からの物品の輸入額 約30億フラン ( 約2900億円 )
スイスの直接投資額 約77億フラン ( 約7480億円 )
日本の直接投資額 約11億フラン ( 1068億円 )
日本におけるスイスの企業に働く日本人 およそ4万人
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