スイスの食品汚染
スイスの食品会社「ウニペクチン」が、ダイオキシンに汚染された大量の粘ちゅう剤を、日本を含む世界各国に輸出していたことがこのほど判明した。
粘ちゅう剤はクリームなどのとろみを出すために使われる食品添加物。同社はインド産のグア豆を原料に粘ちゅう剤を製造していた。ダイオキシンが混入した原因は今のところ不明という。
トゥールガウ州にあるウニペクチンのブルノー・ユート社長は、7月30日のドイツ語圏日刊紙ターゲスアンツァイガーの報道を認めた。現在、スイス国内では大手スーパーを中心に、同社の粘ちゅう剤が使用されている商品の回収を始めている。
偶然の発見
ダイオキシンによる汚染は偶然、ウニペクチンの顧客であるドイツの食品会社が7月13日、チェコの検査機関に依頼して判明したもの。その後、ドイツの検査機関が汚染を再確認した。ダイオキシンの含有量は規定より大幅に上回っていたという。トゥールガウ州化学検査局は同社に対し早速、商品の回収を命令。連邦健康局 ( BAG/OFSP ) は欧州連合 ( EU ) に対し、警報を出した。
ユート社長はダイオキシンに汚染された粘ちゅう剤の量は、現在のところ分からないとしながらも「数トンに上る」と明かした。汚染された粘ちゅう剤はスイスのほか、輸出先の日本、ドイツ、フランス、オーストリア、イギリス、フィンランド、スペイン、ハンガリー、チェコスロバキア、ポーランド、オーストラリア、トルコで出回っていると見られている。
グア豆はソースやクリームにとろみを出すために使われるが、原料が植物のため、同社ではダイオキシンの検査はしていなかった。
回収作業が始まる
スイス大手スーパーの「ミグロ」はこのニュースを受け、汚染されている可能性のあるクリーム菓子3種の商品を店頭から回収した。
ウニペクチンは、2年前からグア豆の一部をインドから輸入しているが、殺菌のためダイオキシンが使われていた可能性が高いと見ている。
最終的に消費者が口にする食品に含まれるであろうダイオキシンの量は「非常に少ないはずで、摂取してすぐ発病することはない」とトゥールガウ州化学検査局の担当官は語っている。
swissinfo、外電 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )
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