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ミツバチの大量失踪

ミツバチは害虫、気象の変化、除草剤などに常に脅かされている Keystone

ミツバチの「群崩壊症候群 ( Colony Collaps Disorder,CCD ) 」が、スイスでも起こっている。CCDとは、ミツバチが女王蜂と幼虫を残したまま巣箱から大量失踪するという現象だ。理由は現在のところ不明。

このほどベルンで開催された農業関連研究所「アグロスコープ ( ALP ) 」の集会では、養蜂業者と研究者が協力しCCDに取り組む必要があるという結論に至った

 ミツバチのCCDが初めて認められたのは北アメリカで、7割のミツバチがこのような謎の減少の犠牲となった。北アメリカとは比較にはならないが、スイスでもCCDが起こっている。アグロスコープの集会では、原因の究明が緊急に必要なため、各国の協力が必要だと訴えた。

ダニが原因?

 可能性と考えられるのは吸血性の寄生ダニであるヴァロラダニ ( Varroa destructor ) 。大きさは1.6ミリメートルで、ミツバチの幼虫などに寄生する。スイスでは1984年に発見され、以来時々、ミツバチの大量死現象が発生した。ヴァロラダニによるウィルス性の病気の発生や、ウィルスの力が強くなったことが原因でCCDが発生している、とも考えられている。また、気候の変化や除草剤が原因であると見る専門家もいる。

 アグロスコープの報告によると、スイスには19万個のミツバチの巣箱があるが、経済面でも生物学的な面からもミツバチは重要な役割を果たしている。ミツバチ関連商品の総売上は6400万フラン ( 約64億円 ) 。果物が実るための受粉活動で3億フラン ( 約300億円 ) の経済効果をもたらす。このほか、種子が作られるための受粉にもハチが必要であり、自然界におけるの植物の多様性が保たれるためにも不可欠だ。ハチにもいろいろ種類はあるが、受粉活動の8割をミツバチが担っている。

 CCDが発生し危機に立つミツバチ同様、頭を抱えるのは養蜂業者だ。1900年にはスイスに養蜂業者は4万5000人いたが現在は1万9000人にまで減少した。害虫対策に手間がかかるため、趣味で養蜂をしている人が多い。後継者問題もある。

swissinfo、外電 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

スイスにあるミツバチの巣箱はおよそ19万個。1個の巣箱で年間20キログラムのハチミツが生産される。
国内総生産量は3600トンで需要の3分の1
輸入量は6700トン。主要な輸入元はアメリカ、フランス、ドイツ
スイス人1人当たりの年間消費量は1.4キログラム。総売上高は5400万フラン ( 約54億円 ) 。
スイスのハチミツは1キログラム平均22フラン ( 約2200円)

スイスの養蜂業者数は19世紀末と比較すると半減し、現在は1万9000人。第2次世界大戦中がピークで、35万個の巣箱があった。養蜂業者数は減少しているが、隣国ドイツ、オーストリアと比較するとスイスのミツバチ数の密度は高い。

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