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国際競争力ランキング 日本は世界で12位

8位のスイスは技術分野での研究開発費や技術革新が評価された Keystone

毎年、秋に発表される世界経済フォーラム(WEF/本部、ジュネーブ)の国際競争力レポートによると、日本は昨年トップテン入りしたものの、今年は12位に順位を下げた。一方、スイスは昨年と同様、8位の座を保った。

世界117カ国を含む上位3位は昨年と変わらず、1)フィンランド、2)米国、3)スウェーデンが占めた。続いて4)デンマーク、5)台湾、6)シンガポール、7)アイスランド、8)スイス、9)ノルウェー、10)オーストラリアがトップテンに輝いた。

 国際競争力レポートは、一般的な統計データに加え、WEFが提携している研究機関や企業との共同調査の結果を組み合わせて作成されたもの。中期的な競争力を測るために、マクロ経済、公的部門の効率や質、技術力の3分野を指数化した。世界117国、1万1000人の企業人からアンケートの回答を得た。

スイスの強み

 「スイスの競争力は主に技術革新に基づいている。スイス企業は研究開発費を惜しまず、大学などと強力なパートナーシップを結んでいる。また、公共機関の質の良さでもスイスは突出している」とWEFのエコノミスト、オーギュスト・ロペスカルロ氏は分析する。しかし、「スイスはまだ公共支出や財政赤字などの面で改善の余地がある」との見方はどこかの国への忠告のようで耳が痛い。

 なお、スイスの足を引っ張っている分野として、「農業政策にかかる費用」が104位(日本は105位)、「国内における貿易障壁の高さ」が94位(日本は60位)、「民間企業の女性雇用度」が66位(日本は86位)、などが挙げられる。また、スイスの自慢の銀行だが、「銀行の健全性」では1位(日本は99位)に堂々と輝いた。

日本の弱点

 WEFのエコノミスト、ジェニファー・ブランケ氏は「日本に対する一番の懸念はマクロ経済の面で、例えばマクロ経済安定度は去年の21位から78位まで落ちました。また、公共債務の水準は114位、財政予算の赤字は113位と世界でも最下位に近いのです。また、政府の公共予算の浪費でも68位と低い水準です」と分析する。

 なお、今年から政府の財政赤字も指数に入れるようになったことが、今年日本が大きく順位を下げた主因と言える。

日本の強み

 一方、企業の技術面で見ると技術革新の導入、技術の精巧さ、企業の積極性、パテント(特許)数の多さなどでは米国と僅差で2位を占め、他国と差をつけている。「大まかに言うと、日本の企業は多くの面で準備周到だが政府が全くついてきていない」と前出のブランケ氏は手厳しい。このため、「今回の(衆議院)総選挙の結果は今後期待できるのではないか。郵政制度の改革は特に重要性を持つはずだ」と見る。

アジア諸国

 なお、トップテン入りしたアジア諸国は台湾とシンガポールでそれぞれ5位と6位。香港は前年より7位下落して28位に留まった。この要因としてWEFは「司法の独立性と財産権の保護の面で弱化し、政府の政策立案面での優遇措置の蔓延が目立つ」と分析し、それまで優れた実績を誇っていた政治腐敗ランキングでも、かなり順位が下がったとコメントした。なお、近年優れた成長率を示した中国とインドだが、両国とも制度や機構面が依然未整備であると判断されたため、それぞれ49位と50位に留まった。


swissinfo、  屋山明乃(ややまあけの)

国際競争力ランキング
(=Global Competitiveness Report) 2005年-2006年版
注:カッコ内は昨年の順位

1.フィンランド(1)
2.アメリカ合衆国(2)
3.スウェーデン(3)
4.デンマーク(5)
5.台湾(4)
6.シンガポール(7)
7.アイスランド(10)
8.スイス(8)
9.ノルウェー(6)
10.オーストラリア(14)
12.日本(9)
17.韓国(29)

28.香港(21)
49.中国(46)

117.チャド(104)最下位

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